この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第161巻収録。カルト集団が小学校を占拠する事件が発生。教団教祖のルシファーの釈放を要求する犯人たちだが、拘束した人質のなかにはゴルゴの姿が。事件に巻き込まれたため依頼人と会えず、おとなしくしているゴルゴだが、依頼が籠城犯の殲滅に切り替わった途端に鬼神のような活躍をみせる。
スポンサーリンク
三大ネットワーク配信記者という肩書
三大ネットワーク配信記者……という如何にも怪しげな肩書で登場するのがホプキンス。スクープのためならコンプライアンスも捜査妨害も厭わない根っからのスクープ屋だ。一昔前の記者魂を持った今時珍しいタイプの記者が今エピソードの狂言回しとなる。
結局スクープは取れず空振りに終わり、人質が解放されたことでスクープがオシャカになったと嘆くホプキンス。だが彼のスクープへの執念が、事態の膠着状態を脱する糸口となったことは確かだ。
ゴルゴの活躍につながっていることを本人が知らないのは読者としては愉快なところ。愛すべき小悪党な趣きもあり再登場を期待したい人物の一人である。
米国陸軍の秘密兵器ロボット戦車
米国陸軍の秘密兵器として”ロボット戦車”が登場。小型で機動力があり、冒頭の強盗たちには、心理的威圧感をもって効果絶大だ。
しかし対テロリスト兵器としてさぞや活躍をすると思いきや、ゴルゴがあっさりとロボット戦車の弱点と対処方法を提案する。曰く「狙いは背後からの特殊部隊の投入」とロボット戦車が囮に過ぎないこと「背後に回ってひっくり返せばいい」と指摘。
今エピソードが描かれてから2019年現在で10数年の時が経過しているが、ロボット戦車は無人兵器のメインストリームになっていないようである。その原因はゴルゴの指摘が的を射ていたからであろう。
身の安全より仕事への美学
依頼人との面会を控え、面会場所の下見をしていたゴルゴは、教団関係者による小学校を占拠したテロに巻き込まれ、自ら人質となる。
人質になる前に逃げようと思えばいくらでも逃げることはできたはずなのに、拳銃を捨ておとなしく人質に連なることを選んだゴルゴ。一見不思議な行動であるが、その意図は他の人質の中に依頼人がいるかもしれない可能性を考えたためである。
普通の人間なら身の安全を第一に考えて、善後策を考えるところであるが……、ゴルゴの仕事への美学にシビれてしまう作品である。
この作品が読める書籍はこちら
片山 恵右
最新記事 by 片山 恵右 (全て見る)
- ゴルゴ13:第211話『AZ4 CP72』のみどころ - 2021年11月14日
- ゴルゴ13:第410話『イリスク浮上せよ』のみどころ - 2021年6月11日
- ゴルゴ13:第283話『未来への遺産』のみどころ - 2021年5月20日