この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第6巻収録。CIAとKGBを二股にかけた二重スパイ、ビセンテ・ヨーク。ビセンテには謎の凄腕ボディガードがついていて、暗殺者は次々と返り討ちに遭っていた。そこでCIAは凄腕の暗殺者ギル・マウロビンを、KGBはゴルゴをそれぞれ雇いビセンテ抹殺に動き出す。謎のボディガードの正体とは一体……? 脚本:森幸太郎、K・元美津
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日本とペルーの古い関係
ペルーが舞台である。フォークレア“コンドルは飛んでいく”や世界遺産マチュピチュが日本でもよく知られているが、日本とペルー(秘露)の関係は古く、実は1899年に日本からペルーへの移住が行われている友好国である。
日系のフジモリ大統領が誕生したのもこういった”日秘”関係史に拠って立つところである。ペルーを舞台にしたエピソードとしては他に175巻『不可能侵入』がある。
ペルーの隣国ボリビアのチチカカ湖を舞台にした36巻『チチカカ湖はどしゃぶり』。南米ではなく中米だが、グアテマラを舞台にした18巻『白い巨人』は今エピソードによく似た雰囲気である。

ゴルゴとバスコス夫人の関係は……。
バスコス夫人の来歴や色っぽい描かれ方、ゴルゴを寝室に招き入れる様子や三下のチンピラに抱かれたことがあると述懐されている事も含めて、バスコス夫人は性に奔放なタイプだろう。
となると当然、バスコス夫人とゴルゴの関係が期待される。話が終わった後、夫人はゴルゴへモーションを掛けようとしたがしかし、ゴルゴの食指は動かなかったようだ。
情事シーンの多いイメージのあるゴルゴシリーズであるが、70巻『血統の掟』のシーリア、91巻『顔のない逃亡者』のピンキー、162巻『海の鉱山』の北の情報屋(初回は応じたが再会時はあっさり断る)などゴルゴが断ることも少なくない。
結局、起きたのは地震だけ
大オチに地震が来てはどうしようもないが、思わせぶりに登場してきた“白紙のギル”も“ドド”も、結局は何もしない。
依頼を受けていたゴルゴですら、“何も仕事をしない”という珍しいエピソードである。活躍らしい活躍をしたのはパチンコナイフとでも言うべき武器でギルを殺したバルビーノだけだ。
なお、この1970年のペルー大地震は死者7万人以上、震源地近くの州都では建物の90%が倒壊した未曽有の大災害であった。登場人物が軒並み地震に飲み込まれていく中、ゴルゴだけは生き延びているのはさすがである。

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片山 恵右

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