この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第175巻収録。ペルーの富豪から、娘を殺した女を始末してほしいとの依頼を受けたゴルゴ。しかしターゲットは、侵入不可能といわれる特殊な刑務所に服役中だった。ゴルゴは侵入を可能にするため、その道のエキスパートたちを動員する……。脚本:加久時丸
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ゴルゴの刑務所モノは名作ぞろい
古くは『檻の中の眠り』『ロベン監獄島』『悪魔の島影』など刑務所モノは名作揃い。これら脱獄不可能と言われる難攻不落の刑務所ではあるものの投獄されるのは比較的容易である。打って変わって今エピソードは『不可能侵入』というタイトルからもわかる通り投獄(もしくは入所)がそもそも困難である。
受刑者のみならず、刑務官や管理職員含めてすべて女性オンリー。男子禁制の女子刑務所へ、どのようにしてゴルゴが侵入を果たすのか……。脱出についてもゴルゴならでは技術とプロ魂が見られる。ゴルゴの刑務所モノにまた名作が加わったと言えよう。
不可能を可能にする緻密な準備と大胆な実行
『マークのリクエスト』では、依頼ルートの一つとして重要な役割を果たしているマーカス・モンゴメリと面会を果たすため、ゴルゴはマークが収監されている刑務所へ荒々しく侵入している。大型トラックでの正面突破である。
今エピソードではそれが許されない状況だけに、周到な準備を行った上で侵入を果たしている。ただ、セスナで胴体着陸をするので荒々しくないわけではない。緻密な準備と大胆な実行である。それらの実現を手伝う調達屋と情報屋の有能さが際立っているが、その後のエピソードへの登場は見られない。
センデロ・ルミノソ進軍歌
不可能と思われていた女子刑務所の際深部へ侵入を果たしたゴルゴ。ここまでくれば、あとは仕上げを行うだけと思いきや肝心のターゲットが想定した房にいない。ゆっくり探す時間的余裕がない状況下、ゴルゴのとった手段が秀逸だ。それはターゲットの所属するセンデロ・ルミノソの進軍歌を口笛て吹いてターゲットを挑発し、自ら出てこさせるというもの。
ターゲットのカッとしやすい性格を熟知しており、かつセンデロ・ルミノソにも造詣を深めているからこその鮮やかな手法である。凡人ならば自国以外の国歌すらよく知らないものであるが、ゴルゴに限ってはいちゲリラ組織の歌のことまで把握している。ゴルゴのゴルゴたる所以であろう。
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片山 恵右
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