この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第175巻収録。ジャーナリストの深沢は、取材に訪れた山形県の酒田湾でゴルゴを目撃する。ジャーナリストの血が騒ぐ深沢は、ゴルゴが現れた理由を独自に調査。浮かび上がったのは、20年前に地元企業「平井物産」を襲った悲劇だった……。
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奥ゆかしい依頼者
依頼者はゴルゴにターゲットを殺すにあたって2つ条件を付ける。
- ターゲットを不慮の事故死に見せかけること
- 日本国内、山形県酒田市で殺すこと
改めて言うまでもなく、ゴルゴは世界を股にかけるプロフェッショナルだ。舞台になる国は毎回さまざま、時には宇宙でも狙撃をする。日本がゴルゴの仕事場になることも少なくはないが、多いというわけではない。
今回依頼者が日本を指定した理由は取引先のメリットを考えてのことだった。依頼自体は父母の恨みという、言ってしまえばありがちなものだったが、今回の依頼者は私怨を晴らすだけでなく取引先にも利益があるように配慮してゴルゴに依頼をした。この配慮は日本人ならではだと読んでいて感じた。
日本国内の一般人でもゴルゴへ依頼できる
今回の依頼者は大企業の若社長ではあるものの、あくまで一般人。ゴルゴへの依頼どころかゴルゴの存在すら知らないだろう。ゴルゴもそこに疑問があったらしく、依頼を聞く前に「俺への連絡方法を、お前はどうやって知った…?」と尋ねている。依頼者は具体的な内容は答えていない。ただ父の遺言書に記されていたと返した。
ここで気になるのがどうやって依頼したのか、具体的な手段だ。ゴルゴへの連絡ルートは作中いろいろ描かれている。その中には東京都神保町の古書店からゴルゴにアクセスできるルートも存在する。それを使ったのか、それともいわゆるマークの讃美歌を使ったのか。何にせよ、ゴルゴは彼のルールさえ守れば一般人の依頼も受けてくれることが伺える。
ふるさとにゴルゴ降り立つ
実はこの山形県酒田市は筆者のふるさとからほど近く、馴染み深い街だ。最初のページで地名を見た瞬間、驚きと嬉しさが押し寄せた。展望台やふ頭は見覚えがある姿そのまま、駅は少し実際より立派に描かれている。
ゴルゴが来たということはふるさとが暗殺の舞台になるということではあるのだが、それでも往年のファンとして嬉しいものは嬉しかった。ゴルゴは複数の脚本家がシナリオを担当している。脚本家それぞれに精通している分野やエリアがあると聞くが、今回のシナリオを描いた脚本家に酒田港をチョイスした理由をいつか聞いてみたい。
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大科 友美
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