この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第82巻収録。イルカの軍事利用を研究するドクター・ドルフ。彼女が育てた殺人イルカ軍団が、米軍がコントラ支援をするための物資を積んだ船を爆破する事件が発生した。彼女の暴走を阻止するため、海軍省は海軍特殊部隊の精鋭を送り込むが、イルカ軍団の前に全滅してしまう……。脚本:竹内亨
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現実にも行われているイルカの軍事利用
軍用イルカの研究が主題となる本話。意外な事実かもしれないが、ドクター・ドルフのイルカ軍団のような研究は現実にも行われており、湾岸戦争やイラク戦争でも実戦で使用されたことがあるという。2019年にも、ロシアの軍用イルカらしき個体がノルウェーで発見され、話題になったばかりだ(※)。
それにしても、イルカやクジラは賢い動物だから食用にしてはならないと主張する西洋人が、イルカの軍事利用には嬉々として取り組むというのは、少し不思議な話でもある。ドクター・ドルフの可愛がっていた「レオ」も、幸せだったかは分からない……。
※出典:ナショナル・ジオグラフィック『「軍用イルカ」って何? 任務は? ノルウェーで見つかったシロイルカに不審なハーネス、ロシア軍に所属か』2019年5月12日
ドクター、自信過剰はあなたでは?
『カオスの帝国』のアイリーン・ジョゼフソンしかり、女性研究者のキャラの濃さに定評のある『ゴルゴ13』。本話の標的のドクター・ドルフもなかなかの自己陶酔ぶりで、章題の「危険を楽しむ女」という言葉がよく似合っている。
直接の濡れ場はないものの、付き人のオルテスにサンオイルを塗らせているシーンは煽情的だ。「“自信過剰”……それが、あなたの“弱点”かしら……? ふふふ……」とは、モニター越しにゴルゴと対峙した際の彼女の台詞だが、読者は皆同じことを思うはず。「それはあんただろ」と!
周知となっているゴルゴの異性愛
各機関が保有するゴルゴのプロフィールが読者に提示されるケースは、特に初期の巻ではよく見られたが、本話で海軍省が有しているプロフィールに「ヘテロセクシュアル(異性愛者)」の記述がある点が珍しい。多くの女性と濡れ場を演じてきたゴルゴだが、同性愛の描写は一度もないのだ。
別のエピソードでは「ゴルゴが仕事の前に娼婦を買うのは有名」といった台詞もあり、各方面にもゴルゴの好色は知れ渡っているらしい。なお、ゴルゴ自身が徹底して異性愛者なのに対し、女性同性愛者は『キャサワリー』や『焼けただれた砂』などで度々登場している。
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東郷 嘉博
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