この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第88巻収録。プノンペン、サイゴン、ビエンチャンの相次ぐ陥落で大量に発生した難民たち。この難民を襲い、悪行の限りをつくす海賊団にゴルゴが鉄槌を落とす。国連難民高等弁務官事務所から海賊の掃討を依頼されたゴルゴは、旧日本軍が開発した人間魚雷「回天」を実費購入する……。
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国連はゴルゴの常連客
国際問題や紛争を解決するのに国連の各部局はゴルゴへ依頼することが多い。今エピソードはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)からの依頼。他に『三人の狙撃手』では同じく依頼者はUNHCRで、日本人初の国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子氏と思しき依頼人が登場する。
日本人と決めつけたゴルゴから氏が窘められる珍しいシーンもあり見もの。『演出国家』では安全保障委員会から、『楽園の汚染』では国連人権擁護委員会からの依頼を受けている。また、ゴルゴは国連から依頼を受けるだけではなく『潮流激る南沙-G資金異聞-』ではゴルゴが事の始末をつけるために国連に200億ドルの寄付をしている。
ゴルゴに可愛がられるアルフィー
密かに船に潜り込んできたアルフィーに、無慈悲にも海に飛び込んで泳いで帰るよう脅すゴルゴ。いつも通り仕事には冷徹だ。
しかし跪いて懇願するアルフィーを見てゴルゴは急に許してしまう。そればかりか、「つい……手が出てしまう……お前を殺したくないんでな……」と愛着を感じさせる言葉まで発している。ゴルゴに何が起きたのか。いつもであれば、さっさと追っ払うか、仕事遂行にアルフィーを利用するのだろうが、奇跡的にアルフィーの身に何も起こらない。恐ろしいまでの僥倖である。
あまりにヘボ過ぎる海賊たち
ゴルゴを敵に回したらそうなってもやむを得ないが、今エピソードのターゲットである海賊たちがヘボ過ぎる。あまりにもあっけなくゴルゴに殲滅されるので、ついつい「もっと頑張れ」と声をかけたくなる。『魔の海峡』の武装海賊(海軍の末端組織)とは雲泥の差である。
数十年前の元操縦者にレクチャーを受けに行ってまで、ゴルゴが回天を引っ張り出してきたのに、その甲斐が感じられないのが残念である。あのレベルの海賊ならば回天を用いなくても海賊たちを蹴散らすことはできただろう。もっと歯ごたえのある敵との戦いで回天の再登場を願う。
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片山 恵右
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