この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第158巻収録。世界最高峰の鳩レースが舞台。鳩レース界の名門ホッパー家を倒して、業界の盟主の座を狙う野心家・クロード。レースの常連であるヘルン伯爵は、クロードがドーピング違反をしていることを見抜き、ゴルゴにクロード優勝の阻止を依頼する。
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もうこんな生活イヤ、鳩の独り言
窓辺から家の中を覗いていた鳩が「猫はいいなあ。食べて寝て遊んでいるだけで皆から可愛いがられyoutubeで人気者になれる。私たちは帰巣本能が強いばかりにドーピングまでされて人間にこき使われる。今度生まれてくるときは猫にしよう」
とつぶやいていたかどうかは不明だが、猫は紀元前5千年からほとんど生活スタイルは変わらず、日本の南極探検隊の遊び相手として、厳寒の中犬が橇を引いているときにも暖かい部屋でゴロゴロしていた。それに比べると鳩は、軍事やレース、食用など、犬同様人間の都合で様々に利用されてきたといえる。
オリンピックだけではなかったドーピング
最近はオリンピックといえば「ドーピング」が枕詞になってしまっているが、何と鳩までドーピングとは衝撃の事実である。そこまでしなければならない鳩のバルセロナ・レースについての詳細な記述がとても面白い。日本でも愛好家の間でレースは行われているが、一般にはあまり知られていない。
それにしてもヘルン伯爵は貴族なのに「くそーっ、あの野郎、報酬の返還を恐れて逃げ出しやがった」などと性格は高貴どころかお下品このうえなく、さらに鳩の愛好家なのに「長距離鳩が筋肉隆々としているのか」とゴルゴに突っ込まれたりと賢くもない。
ヘルンは動物愛護の精神をゴルゴに学べ
今回の狙撃にゴルゴの動物への信条がみてとれる。『黄金の犬』のラストで自分を守るために犬を自決させた、と思われているが、あの犬達が敵の手に堕ちれば利用されたあげく無惨な死を遂げる。だから生死を自然の手に委ねたのではなかろうか。
この依頼は「クロードの鳩の優勝阻止」だから、見通しの悪い霧の中、あえて超絶技巧の狙撃を実施した。ヘルンは射撃大会で優勝した経験からゴルゴの腕を見定めてやろう、など笑止千万なことを思いながら「鳩を撃ち落とす」ことしか考えず愛好家が聞いてあきれる。ゴルゴの爪の垢でもお呑みあそばせ。
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野原 圭
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