この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第130巻収録。生化学者のオコーナーは、遺伝子操作の研究中に新種の狂犬病ウィルスを生み出してしまう。イスラム原理主義の強硬派は、そのウィルスをテロに利用しようと目論み、オコーナーと狂犬病の犬を誘拐。強硬派の殲滅を依頼されたゴルゴは、オコーナーが飼っていたレトリバーを使って、敵のアジトまでの追跡を行う。
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魅力的な武器ともなる伝染病
中国の武漢が発生地と考えられている新型コロナウィルス。悲惨な結果につながる伝染病だからこそ武器として魅力的に考える人も多いようで、『皇帝と共に北へ向かう』『真のベルリン市民』『赤い五月の使命』などゴルゴシリーズでも度々テーマとなっている。
本作では犬と会話できるとまで評される女性学者のオコーナーが、新種の狂犬病を作ったことが発端だ。彼女を連れ去ったイスラム原理主義組織。何とか彼女を保護しようとするフランス政府。そして身内を殺された富豪からの依頼で動くゴルゴ。三者三様のかけ引きや思惑で物語は動いていく。
犬の特殊能力を利用するゴルゴ
手がかりのないオコーナーを探すためゴルゴが利用したのは、彼女が愛玩していたゴールデンレトリバー。未知の場所にいる飼い主の元へもたどり着く“感応追跡”と呼ばれる能力を犬は備えているとある。
ゴールデンレトリバーを追ったゴルゴはフランスからイタリアを経由してユーゴスラビアまで到達する。長距離の追跡に4頭の犬を同行させるゴルゴ。
ゴルゴが犬を見分ける目は確かで、追跡の役にたつのはもちろんのこと、雪山では落石が直撃する危機から救われている。ご褒美に犬の頭をなでるゴルゴ。その表情がいくらか柔らかく見えるのは気のせいだろうか。
信頼した犬達の運命は
雪山でビバーグするゴルゴは犬達と一緒に眠る。なんと左腕に2頭、右腕に1頭の犬を抱え、窮屈に曲げた足元にもう1頭の犬を置いている。ゴルゴが寝所をともにするのは女性だけではなかったようだ。
そんな信頼する犬達だからこそ、ゴルゴが最後に選んだ方法は残酷だ。『ヒューム卿最後の事件』『寡黙なパートナー』など、人間と犬との関わりを描いた作品は他にもあるものの、その多くで悲しい結末を迎えている。
しかし『守宮の盗聴』では、ターゲットの願いを聞き入れて、飼い犬などを殺さずにいる。そんな対応は本作では難しかったのだろうか。
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研 修治
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