この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第43巻収録。南極にあるアメリカの陸軍研究所で、研究員が次々と変死する事件が発生する。じつは研究所では生物兵器用のウイルスが極秘製造されていたのだった。研究リーダーのコーニング博士がウイルスを持って逃亡を図ったため、アメリカ陸軍はゴルゴに博士の殺害とウイルスの回収を依頼する……。
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ゴルゴvs悪魔の細菌科学者
本作でテーマになっているのは細菌兵器だ。読み手にはギョッとする内容ながらも、話の冒頭で政治絡みの話題に移りかけた時ゴルゴが、「あんたたちが、どんなものを作っているのかはよくわかったよ」「で、おれになをしろというのだ?」と切り上げさせるのはいつも通り。
致死性ウィルスの回収とそれに関わっていたコーニング博士の始末を依頼されるゴルゴは、基地に侵入したものの割れたガラスに引っかけて防護服に穴を開けてしまう。本作の初出は1978年。年齢不詳のゴルゴながら、まだまだ若いこともあってか凡ミスをしてしまったのだろう。
“皇帝と共に北へ向かう”の意味とは?
感染すれば2日で死に至る細菌兵器の開発を手がけていた秘密基地なだけに慌てても不思議ではないのだが、ゴルゴは着実に任務を遂行していく。そんな様子を上空から観察する依頼者は、「発病するしないにかかわらず、コーニングを追い、これを仕とめようと、するだろう」と断定し、ゴルゴを「たいした男(クレイト)だ」と称賛しているが、この言葉に異論を唱える読者はいないはずだ。結果的にゴルゴは細菌兵器には感染しておらず両方の依頼を完遂する。
それどころかタイトルにあるコーニング博士が残した言葉、「宇宙の意思は、5月に北へ向かう!皇帝と共にな」を推理し、「異常者のたわごと」と捨て置いた依頼者をうながして更なる被害の拡大も未然に防いでいる。ここまでアフターケアができるスナイパーを超大国アメリカが大事にするのも当然だ。細菌兵器やウイスルをテーマにした作品には、『病原体・レベル4』『真のベルリン市民』『赤い五月の使命』などがある。この依頼で学んだこともあってか凡ミスをしないゴルゴの活躍はそちらで読んで欲しい。
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研 修治
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