この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第67巻収録。ニューヨーク市警のガービーは、麻薬の売人から供給元の正体がキューバの内務省であることを聞き出す。マリオに公の場で証言してもらえるよう説得したが、麻薬の中毒症状が酷く、とても証言できそうにない。そこでガービーは覆面姿でマリオを装い証言をする計画を実行するが……。脚本:北鏡太
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行き過ぎた同情心が招いた皮肉な結末
本話の狂言回し役を務めるのは、麻薬捜査に携わる刑事のガービー。彼は刑事をやるには優しすぎる性格だったのか、密売人マリオの家族の死に自責の念を感じ、思い悩むことになる。そこまではいいとしても、独自にゴルゴを雇って復讐に打って出るのは、やりすぎというか、同情心や責任感の域を越えてしまっている感がある。
刑事でありながら犯罪に手を染めてまでマリオの仇を討ったガービーだったが、そんな彼の最期は、麻薬のフラッシュバックで錯乱したマリオに刺殺されてしまうという皮肉なもの。ラストの無念な死に顔が何ともやるせない。
手榴弾で標的コルテスを爆殺するゴルゴ
マリオの家族を殺された復讐として、黒幕のコルテス少佐と、その部下二人の抹殺を依頼されたらしきゴルゴ。部下達にはお決まりのヘッドショットを見舞っているが、コルテスの殺害方法は、セスナから手榴弾を投げ落とし、クルーザーごと爆殺するという大味なもの。
こうした殺害方法が依頼内容に含まれていたのか、ゴルゴが独自の判断でそうしたのかは分からないが、洋上の標的を狙うならライフルよりこの方が手っ取り早いということだろうか。一見コルテスが不用心にも思えるが、こんな方法で命を狙われるとは思ってもみなかったに違いない。
「ペロッ……これは麻薬!」は苦い味
キューバからの亡命者による麻薬犯罪が主題となる本話。キューバの事情が絡むエピソードといえば、46巻収録の『代打』、54巻収録の『リトル・ハバナ』などがあり、当時はメジャーな脅威だったことがわかる。
その後、21世紀に入りオバマ大統領の時代にアメリカと国交を回復したキューバは、今日では麻薬犯罪の撲滅に努め、一定の成果を上げているとか。ちなみに本話冒頭の取引シーンでは、コカインを舐めて味を確認している一コマがあり、終盤でも砂糖へのすり替えが毒味で発覚するくだりがある。本物のコカインは苦い味がするそうだ。
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東郷 嘉博
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