この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第46巻収録。オリンピックの金メダル級の腕前を持つ狙撃手・カーが登場するエピソード。キューバのカストロ議長暗殺計画をめぐり、それを阻止したいカストロ派はカーに仕事を依頼する。しかし本命と考えていたゴルゴとの連絡が取れたため、カーへの依頼は一方的にキャンセル。そしてプライドを傷つけられたカーに、CIAからの依頼が舞い込み……。脚本:北鏡太
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金メダル級でもゴルゴ13の下位互換
冒頭から登場する射撃教官のセバスチャン・カー。短銃でもライフルでも相当の腕前で“金メダル級”と噂されるほど。さらに依頼人にも注意を怠らず、CIA内部にもツテを持つなど、用心深さもなかなか。しかしカーがCIAにあっさり捕まってしまうところまで読むと、やはり“代打”と思わされる。
ゴルゴを見かけた2人のCIA職員が冷や汗を流し、尾行ですぐにまかれてしまったのとは対照的だ。CIAはカーに1万ドルと必要経費で別の狙撃を依頼している。カーは、「安すぎる」と断ったものの、その辺りが妥当な評価なのだろう。
2流のスナイパーには2流の情報屋
『最後の酒』などでゴルゴも情報屋を使っているが、カーはCIAのロスアンゼルス支局に勤めるアジア系の女性、キムにコンタクトを取る。渋るキムに依頼人の身元を探るよう約束させた後、ベッドインするカーとキム。
翌日、CIAのファイルからキムは依頼人の身元こそ探り当てたものの、支局長に見つかって芋づる式にカーもお縄になる。やはり2流のスナイパーが使う情報屋は2流のようだ。なお、キムが見つけた3コマ前に、重要人物の写真があったことに気づいた読者はどのくらいいるだろうか。
勘違いするCIAと踊らされたカー
本作の発表は1980年。故フィデル・カストロ議長がまだまだ元気な時期。作中のCIA職員が、「最近のカストロは反米一辺倒ではなくなってきてました」と言う頃でもある。そんなカストロ議長の暗殺をCIAが防ごうとするのは当然。しかし完全な誤解だったことが後に判明する。
滑稽なのはCIAの依頼を受けたカー。「どうなってやがるのか、さっぱりわからねえ」と完全なピエロだ。カーの狙撃を利用してソ連高官を暗殺するゴルゴはお見事。事態の急変にも、「我々にはわからない理由があったのだろう」と葉巻をふかすカストロ議長もさすがの貫録。
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研 修治
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