この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。アメリカ・テキサスでペーパーカンパニーの警備保障会社を運営するジョー。昔は用心棒として鳴らしたが、今ではすっかり枯れ、飄々と暮らしていた。そこへかつての恋人が現れて……。ジョーはゴルゴの銃弾をかわし、驚きの表情を作らせた貴重な凡キャラだった。脚本:夏緑
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無慈悲な仕事か、せめてもの慈悲か
ゴルゴに狙われる者にも家族や恋人がいて日常がある……というのは度々描かれるテーマだが、本話もそんな小市民が標的となってしまった話。夫の会社の裏金作りを手伝っていたというパティは、悪人といってもせいぜい小悪党の仲間であり、善悪に左右されないゴルゴの無慈悲さが出たエピソードといえる。
ジョーも、無謀にもゴルゴに立ち向かわなければ生き延びられたはずだが、20年振りに再会した元恋人を見捨てて逃げることも出来ないだろう。そんな彼の心境を分かっているからこそ、ゴルゴは一種の慈悲として正面から相手してやったのかもしれない。

バカにできない?アルマジロの防弾性能
アルマジロの甲羅で拳銃弾を跳ね返すという、本作史上屈指のびっくり戦法でゴルゴに立ち向かったジョー。驚きと呆れが混ざったようなゴルゴの表情は貴重で、直後の「何を考えてやがるんだこいつ?」はゴルゴも同じことを思っていたかもしれない。
なお、アルマジロに防弾性能があるのは事実のようで、アメリカでは2015年には二度にわたり、アルマジロを撃った弾が跳ね返って怪我人が出たという珍事が報道されている(※)。本話もそれに着想を得たものと思われるが、ゴルゴが今後どこかでアルマジロを武器に使うことは……ないでしょうね。
※出典:BIGLOBEニュース『防御力高すぎ!アルマジロを拳銃で撃ったら、弾丸が跳ね返って義理の母親に当たるという事案が発生』(2015年4月14日)
ライブドアニュース『テキサスのガンマン、アルマジロを撃ち返り討ちにあう』(2015年8月30日)
アルマジロ占いはリス占いのテキサス版?
ジョーが語っているように、アルマジロの語源はスペイン語のarmadoで、これは英語のarmorにも通じる「武装したもの」という意味。アメリカ南部には多く生息し、特にテキサスでは州の動物にも選ばれている。
作中のような乱痴気パーティかはともかく、2月2日の「アルマジロの日」も現地の祭りとして恒例だが、それほど歴史の古いものではないようだ。2月2日に動物で春の訪れを占う行事といえば、リスの一種が主役の「グラウンドホッグデー」がアメリカやカナダで広く有名であり、その風習の起源はドイツのアナグマ祭りにあるという。
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東郷 嘉博

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