この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。2008年、国際的武器商人のユボウトが逮捕された。10年後、ユボウトの部下たちが、当時の不可解な逮捕劇の真相に迫るべく調査を開始する。判明したのは逮捕される前夜に、ユボウトが「死神を見た」と話していることだった……。脚本:加久時丸
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アフガニスタンの教訓はどこへ?
作中に登場する1989年のアフガニスタン。撤退するソ連軍の指揮官は主力ヘリMi-24が携帯型ミサイル“スティンガー”に落とされたことを「忘れてはならない」と戒めている。約30年を過ぎた2022年2月24日にウクライナへ侵攻したロシア。スティンガーなどの反撃で少なからぬ軍用機が破壊されたらしい。
ソ連国旗を「その旗はなんですか?」と聞く若者が多数を占める現在、アフガニスタンの教訓は忘れられたようだ。ただし先の指揮官は「いつか勝利すればいいのだ!」とも言っている。プーチン大統領は「いつか」を2022年と思ったのだろうか。
ゴルゴも称賛する精鋭チーム
一匹狼のゴルゴも依頼によってチームを組むことがある。『2万5千年の荒野』では熟練の原発作業員と『臆病者に死を』では爆発物処理のプロと組んで仕事をした。本作ではソ連(ロシア?)空軍出身の元軍人10人ほどと行動を共にするのだが、リストを見たゴルゴは「まさしく精鋭だな」とつぶやく。
いつもは無駄話を嫌うゴルゴ。依頼を引き受けた直後、チームを組むオルシャビンからの質問に間接的に答え、ミッション後には依頼人であるプルジャコフの独り言にも黙って付き合っている。よほど今回の依頼内容やチームが気に入ったのかもしれない。
ウクライナ戦争の遠因はゴルゴ?
奪取するデータセンターは親米国ヨルダンにある巨大コンテナ型のデータセンターだ。中には西側の情報がぎっしり詰まっているはず。ゴルゴは投光器や警備員、コンテナを固定するボルトを次々に狙撃していく。
最後となる10本目のボルトを狙撃する寸前にヘリコプターがあおられたのもゴルゴには想定内らしく、銃を持ち換えてあっさり撃ち飛ばした。気になるのは最後のナレーションだ。作戦の成功を知ったロシア大統領はアメリカ政府に交渉を持ち掛けたと書いている。味をしめたロシア大統領が「ウクライナも…」と推測するのは強引だろうか。
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研 修治
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