この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第50巻収録。南アフリカのロベン監獄島。ここでは有色人種に対する非人道的で過酷な拷問が行われていた。監獄島からの脱獄に成功した黒人男性が、冷酷非道な監獄島所長・スクーマンの殺害をゴルゴに依頼する。わざと婦人警官に暴行をはたらき、監獄島に収監されるゴルゴ。巧みな話術でスクーマンを操るゴルゴがみどころ。脚本:外浦吾郎
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有色人種であることを便利に使うゴルゴ
本話は、『ゴルゴ13』ではお馴染みの刑務所潜入ものの一つ。今回のゴルゴの依頼人は人種隔離政策に怒りを燃やす黒人犯罪者だ。白人女性へのレイプを繰り返した卑劣な男だが、その蛮行からヒントを得たのか、ゴルゴ自身も刑務所への潜入のために似たような事件を起こしている。
婦人警官へのレイプ(未遂?)を演じるにあたり、ゴルゴは「白人を抱けない人種主義、背徳法には反対だ。おれは白人を抱きたい」と言ったそう。ゴルゴ自身は人種にコンプレックスなどないはずだが、時にこうして有色人種であることをも武器にするしたたかさが面白い。
ヨハネスブルグ治安コピペより怖いロベン島
治安の酷さで知られた南アフリカ。特にゴルゴが事件を起こしたヨハネスバーグは、21世紀に入ってからもその治安を揶揄したコピペがネットで流行るほどで、
「軍人上がりの8人なら大丈夫だろうと思っていたら同じような体格の20人に襲われた」
「中心駅から半径200mは強盗にあう確率が150%。一度襲われてまた襲われる確率が50%の意味」
など話題に事欠かない。そして問題のロベン島である。刑務所長が挙げる拷問リストは「電気椅子、睾丸割り、背骨折り」! 睾丸割りは勘弁してほしいと思ったのか、ゴルゴの焦るような表情は必見だ。
マンデラ収監でも知られる悪名高き監獄島
ロベン島は実際に17世紀から監獄として使われていた歴史があり、ハンセン病患者の隔離所や政治犯の収容所として悪名を馳せた。ノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラが収監されていたことでも有名で、2007年の映画『マンデラの名もなき看守』でもその様子が描かれている。
現在では世界遺産に登録されて博物館となっており、元囚人がガイドを行っているのだとか。ちなみに本話では見事な策略で所長の殺害に成功し、島から逃げおおせたゴルゴだが、後に81巻収録の『悪魔の島影』でも再度ロベン島に潜入している。
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東郷 嘉博
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