この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第208巻収録。広島原爆の40倍もの威力をもつ小惑星が、モスクワをめがけて急接近。リミット内に小惑星を爆破できる可能性があるのは「レールガン」と呼ばれる新兵器だけだった。レールガンによる狙撃を依頼されたゴルゴは、銃職人デイブをともないモスクワへと乗り込む。
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美しき古城の地下で散る怨念と欲望の火花
帝政ロシア時代、各地に築かれたであろう広大で美しい城の数々。緻密な城の描画がその姿を彷彿とさせるが、その地下にはあまりに危険な怨念と欲望が渦巻き、世界の人々を巻き込んでいた。人を呪えば穴二つ、のことわざ通り、罠をしかけたつもりのガウリ博士は、逆に自分の同胞を危機に晒してしまう。
落とし前をつけるべく取った、彼の壮絶な選択により、最後の望みがつながれるが、果たしてその結末は。『軌道上狙撃』や『G線上の狙撃』など、数々の作品で登場する片腕の銃職人デイブとともに、ゴルゴが一発必中、最高難度の狙撃に挑む。
ゴルゴが認める職人中の職人デイブ
ゴルゴにとってなくてはならない職人・デイブだが『武器屋の長い午後』などスピンオフの作品があるというのも彼の人気を物語っている。何事も、真剣勝負の緊張感の中でしか培われない能力があるが、職人は注文主の無理難題に応えることによりその腕も磨かれていく。ゴルゴの要求をデイブは渋面しながらも楽しんでいるのだ。
古城を背に、ゴルゴと去るデイブが「馬鹿だね、あいつら! どさくさに紛れてあんたを消そうだなんて……」とあきれているが、デイブの技術をロシア軍部に知られてしまったゴルゴにとっては却って好都合の結果となった。
欲望は霜降和牛とバスクチーズケーキの味
舌にとろける濃厚な味の霜降り和牛、たっぷりのチーズに生クリーム、卵に砂糖で焼いたカロリーの塊・バスクチーズケーキ、どちらも禁断の味だが、砂糖と脂は過剰摂取すると麻薬同様歯止めが利かなくなる。結果はご想像にお任せしたい。
あらゆる欲望は過剰になると暴走する。ゴランもセチンも、もはや中毒状態にあったのだろう。今回は同じ民族で同じく悲惨な境遇にありながら、三者三様であった科学者の生き方がポイントである。同じ民族でも思考や行為は同じではなく、人としてあるべき姿は民族を問わず、皆共通であることを示している。
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野原 圭
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