この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第131巻収録。99年に米国からパナマ運河が返還される。それに先駆けて開かれた世界会議に、各国の要人が次々と出席を辞退する事件が発生。これにはパナマ政府が国交のある台湾の李総統を招待したことによる中国側の反発があった。さらには李総統暗殺計画が進行しているとの情報がながれ、パナマ運河にはゴルゴが姿を現すのだが……。
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シリーズ初登場!梶本記者
すっかり御馴染みとなった東洋通信メキシコ支局の梶本記者が、シリーズ初登場するエピソードである。彼は回を追うごとに気の抜けた炭酸のようにグータラ、ダメ社員の色合いが濃くなってくる。
パナマへは国際会議の取材のために出張してきたのだが、運河の見学に来た時にたまたま居合わせたゴルゴに、只者ではない雰囲気を感じ取ったことから梶本記者の命運が転がり始める。本作以降、取材へ行くたびにゴルゴに出くわし翻弄されることになるのである。梶本記者が登場するエピソードには『ODA異聞ODA異聞』『人形の家』『ACT-X』『受難の帰日』がある。
船への狙撃、船からの狙撃
運河を舞台にする本作。やはり狙撃は船舶がらみである。陸に位置するゴルゴから船上レセプションのターゲットへの狙撃だ。500メートル離れた船上の、揺れ動くターゲットを一撃でモノしているのはやはり見事である。
他に船上のターゲットへの狙撃例としては抒情たっぷりに描かれる初期の名作『海へ向かうエバ』、『ラストグレートゲーム』、海上のヘリからレコードを打ち抜く『歴史の底に眠れ』、同じく海上のヘリから船そのものを狙撃する『大地動く時』がある。逆にゴルゴが揺れ動く船上からの狙撃をするエピソードに『南フロリダ殺人ゲーム』などがある。
台湾をめぐる国際情勢20年の時を経て
1999年当時、台湾の国交は30ヵ国足らず。決して多くないその数を減らすまいとする、台湾首脳陣の努力が本作の起点となる。が、切り札であるゴルゴを用いてまで守ったパナマとの国交が、2007年には断交してしまっている。
パナマと近隣のドミニカ、エルサルバトルも相次いで断交してしまい、2019年9月20日現在で台湾と国交のある国は15ヵ国に減ってしまっている。20年で半減ということが台湾をめぐる国際情勢が1999年当時よりも厳しいものであることを表している。
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片山 恵右
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