この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第116巻収録。マイクロチップで世界有数のシェアを誇る企業で、開発室長を務める有沢。ある日、自宅に帰宅すると、須山という見知らぬ男が訪問しており、「父親が有沢さんのお父さんにお世話になった」と言う。自分の父親が秘密裏に中国のスパイとして活動していたことを知る有沢は、須山の一言に仰天してしまう。須山の目的は一体……? 脚本:ながいみちのり
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現代における最新技術をめぐる攻防
ゴルゴシリーズでは最新の技術をめぐってゴルゴに依頼が行われることがある。『燃える氷塊』ではメタンハイドレートを資源化させやすくする細菌の存在から、『ユビキタスの迷路』では新型OS(オペレーションシステム)の行方をめぐって、『BEHOLDER』では核兵器にも転用が可能なウラン濃縮技術の漏洩に対してゴルゴに依頼が行われる。
技術を持つ側が防衛するためにゴルゴを雇うこともあれば、技術を奪う立場の者がゴルゴに依頼することもあるのが面白いものの、ゴルゴは依頼を遂行するために着々と狙撃を実行するのみだ。
サラリーマンの小さな幸せが一変
本作においては序盤から中盤までゴルゴの行動は全く描かれていない。物語でメインに描かれているのは、大手情報技術会社に勤めるサラリーマンの一家とその家を突然訪れた青年とのやりとり。青年の明るい態度に奥さんや娘さんは好感を持つ一方で、青年から亡くなった父親の知り合いと告げられた一家の主は不信感を募らせていく。
その不信感が間違っていないと気づいた時には、産業スパイの片棒を担がされることになってしまう。まるでアリジゴクに落ちたアリかクモの巣に捕らわれたチョウのようながら、そんな推移が現実にあっても不思議ではないと思わされる。
依頼者は?ターゲットの正体は?
情報を渡す段になってゴルゴが登場。自分を狙った銃口に気づいた青年が次の瞬間に額を撃ち抜かれてしまう。ゴルゴは一言も話していないばかりか、たったの3コマ(うち1コマは銃を握った指のみ)しかゴルゴは描かれていない。
サラリーマンは、「我々の知らない所で……我々の知らない“世界”が動いているのだ」と言うのみ。青年の正体は、そして依頼者は誰だったのか。『龍への供物』では東京の町工場が持つ重要な技術が中国からの産業スパイに狙われ、それを防ぐべく公安がゴルゴにスパイの殺害を依頼している。本作と似ている部分がありそうだ。
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研 修治
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