この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。箏の教授で視覚障害をもつ美背は、ハイキングの最中、ある銃声を耳にする。後日、VIPが集うワインの試飲会で、同じ質感の銃声を聞いた美背は現場に急行するが、そこではゴルゴとボディガード達の銃撃戦が繰り広げられていた…。脚本:ながいみちのり
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和服美人のパートナー
本作でキーパーソンとなるのは筝(そう)の琴を教えている女性、美背(みせ)。黒髪で和服の似合う美人である点は『一射一生』でゴルゴに弓の指導をした弥生と似ている。しかし、弥生が男社会である武道の世界で陰の強い女性として描かれているのに対して、美背は女性が多い和楽器の世界で常に明るい雰囲気を持つ女性として表現されている。
ゴルゴがライフルの試射、美背が教え子達と山歩きをした帰路で2人は出会う。この出会いはさすがに偶然だろうが、その後の展開を考えると、この時にゴルゴは狙撃や脱出のカモフラージュを思いついたに違いない。
美背が生き残れたのは?
そんな美背でも、一人取りつかれるように筝を奏でる、言わば彼女にも深く沈んだ面があるよう描かれている。また彼女が盲目となったいきさつは不明ながら、盲目ゆえにウグイスの鳴き声やゴルゴの銃声すら聞き分ける鋭い聴覚にスポットを当てている。
かすかな物音から暗闇にいる不審者を探知する美背。彼女の手から敵を感じ取って狙撃するゴルゴの技には驚嘆するばかりだ。その後に美背は気を失うが、狙撃の証人をとなりうる美背をゴルゴが見逃したのは、ゴルゴの脱出に必要だからと考えられるが、ゴルゴへの恋心は感じ取っただろうか。
レアなゴルゴの和服姿
ラストシーンで桜が舞い散る中、ゴルゴは美背の数歩後を歩いて現場を脱出した。美背が気づかないほどに気配を殺せるのはゴルゴならでは。その時のゴルゴは、ベテラン刑事が「かっこよく」「良い仕草」と評するほど。がっしりとした体格のゴルゴなら和装が似合うのも当然だ。
『一射一生』『震える修験者』でもゴルゴは和服ながら、羽織つきの着流し姿はシリーズでも初めてではないだろうか。美背について歩くゴルゴは、お姫様を守る従者のようだ。ゴルゴが左手に持つ筝ケースに筝以外のもの-ライフルが入っているとは刑事でも思いつかないだろう。
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2024年7月現在、単行本化はされていません。単行本化までしばらくお待ちください。
研 修治
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