この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第99巻収録。旅客機がタンザニア国境付近で墜落した。生き残ったパイロットの証言から生存者はもう一人おり、名前はデューク東郷で負傷しているとの情報がもたらされた。東西の緊張がなくなり、テロリストに用がなくなったと判断した米・ソ政府は、この機会にゴルゴを抹殺してしまおうと企図する。脚本:きむらはじめ
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ゴルゴの魅力のたっぷり詰まったエピソード
ゴルゴのサバイバル術、雪山での特殊部隊との闘い、洞窟での知恵比べ、そして救援システムとこれでもかというくらい魅力が詰まっているお得なエピソードだ。それぞれ関連エピソードがあるので、興味のあるところから併読をお勧めしたい。
サバイバル術は『スフィンクスの微笑』『ストレンジャー』、特殊部隊との闘いは『白龍昇り立つ』『メジャー・オペレーション』、洞窟などの暗闇ものでは『ミッション・イン・ヘル』『闇の封印』、救援システムでは『いにしえの法に拠りて』がある。

軍人魂アーロン・バンク
上述のように今エピソードはゴルゴの魅力が楽しめる痛快な内容だ。しかし、視点を変えれば本質的な戦いと軍人魂を生きがいにするも、結局、核兵器に翻弄されるデルタ部隊創始者のアーロン・バンク大佐の軍人としての悲哀物語でもある。
良きにつけ悪しきにつけ、頑固で誇り高い軍人魂というものを体現し続けていたのは見事である。最後の戦場で本懐を遂げることなく、失意のうちに帰国するバンク大佐に声を掛けられるなら、「あんたの軍人魂は見せてもらった」と言ってやりたい。方向性は異なるが『地獄からの生還者』のキース大尉も古いタイプの軍人(ステレオタイプ的鬼教官)である。
ゴルゴの落とし前や如何に
アレン・ターナー特別補佐官は、神童からそのまま大人になってしまったような頭でっかちだ。自分の才気に自惚れ過ぎて、ゴルゴとの人間の格の違いというものを感じ取れなかったのだろう。青二才とはこのことか。
彼はゴルゴ暗殺を試みたものの最終的にゴルゴに落とし前をつけられる。今エピソードではさすがにターナーを始末できずにオレンジ農園のヘリで脱出するところで終わるが、後日、ターナーはゴルゴに殺害されているはずだ。『1万キロの狙撃』では同様のケースでなかなか頓智を利かせた方法で落とし前をつけるゴルゴが描かれている。

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片山 恵右

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