この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。米国で開催予定のG7サミット。不祥事が発生すればホスト国の面目丸潰れの状況下、警備責任者のオットーは、唯一の懸念として残るゴルゴの存在に頭を悩ませていた。オットーはゴルゴ対策として、サミット期間中にある計画を実行するが…。
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報われない苦労に読者も同情必至
トランプならぬプラント大統領のジャイアンぶりに振り回される、警備責任者・オットーの苦心を描いた本話。世界各地の大使館等を巻き込み、やっとの思いでゴルゴを遠ざける算段を付けても、コロナとプラントに翻弄されてその苦労も水の泡……という境遇には同情させられる。
しかし、作為的な依頼でゴルゴの動きを縛るだけならまだしも、現地の警察に情報を漏らして彼を足止めしようとするのは余計な一手だっただろう。それさえなければ制裁の対象にまではならなかったかもしれないが、用意周到に考えすぎた計画が命取りになったということか。
計画に組み込まれた者達の悲喜こもごも
インドネシアの人気タレント・ヨギもまた、オットーの計画の片棒を担がされて不憫な目に遭った人物といえる。彼の場合は命までは取られなかったものの、ゴルゴに耳の端を撃たれた上、報酬の500万ドルも風呂場で燃やされてしまい、まさに骨折り損のくたびれ儲けである。
もっとも、ファンの少女の仇を討つことにはなったと思えば、まだ納得はできるかもしれないが……。そう考えると、この件で唯一救われたのは、ヨギに金を渡されゴルゴの依頼人となったデメテルだろう。標的のマルトノも本物の悪人であり、ここはシンプルに溜飲が下がるところだ。
オットーが目的を叶える方法はあったのか
懸命に仕事に向き合った結果だと当のゴルゴに認められながらも、なお有罪(ギルティ)とされたオットー。彼が命を失わず目的を叶えるにはどうすればよかったのだろうか。
「時間を買う」依頼と同様、ゴルゴはボディガードの依頼も受けないのが基本だが、対象者の命を狙う者の撃退・排除という形でなら、実質的に護衛のような働きをしてくれるケースはある。しかし、それには、プラントが命を狙われているという明確な根拠が必要だろう。あの大統領ならいつでも狙われていて当たり前、という話では、ゴルゴは納得してくれないだろうな……。
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東郷 嘉博
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