この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第12巻収録。対立にも緊張緩和の兆しがみえてきたソ連と中国。そんななか、ソ連の偵察機が撃墜され、搭乗員のステパノフ大佐が囚われてしまう。中国側がスパイ行為の事実を暴けば、中ソ首脳会談に影をおとすと判断したKGBは、ステパノフの抹殺を決断する。KGBから依頼をうけたゴルゴは中国に飛ぶが、ステパノフ抹殺を邪魔したいCIAも絡んできて……。脚本:K・元美津
スポンサーリンク
依頼の受け方もカッコいいゴルゴ
お薦めしたいのはゴルゴが依頼を受けるシーンだ。ウォッカを進めてくるクライアントにゴルゴは「トマト・ジュースで割ってくれ…」と応じる。一見なんてことないやり取りに見えるが、この割り方で出来るカクテルを“血まみれマリー”といい、クライアントに依頼を受ける意向を伝えるゴルゴ流の洒落た返事であることが判明するのだ。
他にも『鎮魂歌に牙を』ではゴルゴの所持品について詳細に語られていたが、本作では所持品に加え言語や身体的特徴等も解説がなされている。併せて読むことで、よりゴルゴ本人の特徴を知ることができるだろう。
ゴルゴに翻弄される女性
登場人物で注目したいのはゴルゴに命を救われたKGB女性工作員・クークラだろう。彼女のもたらした情報がCIA打破のヒントとなっているし、銃撃戦では一人で五人を相手に応戦するなど頼もしい活躍をみせている。CIAの奇襲を受けた際にゴルゴから注意を引き付けるように言われるも、敵の圧力に弱音を吐くなど意志の弱さを見せる。
そして二人で窮地を乗り越え想いを寄せる描写があるものの、悲惨な結末を迎えてしまう。KGB女性工作員と言えば『リオの葬送』で鋼鉄の意志を見せたマイヤが印象深い。マイヤとは対照的な彼女がどんな末路を迎えるのか注目してほしい。
厳重に監視されたスパイを狙撃する術は?
本作のみどころは厳重に監視されたスパイを、ゴルゴがどう始末するのかに尽きる。物語も序盤こそゴルゴへの依頼とCIAの死闘が描かれるも後半はもっぱらスパイ暗殺のための準備にページ数を割いているほどだ。その緻密な準備の上でゴルゴが導き出した狙撃がまさかの方法なため、読者の期待をいい意味で裏切ること間違いナシである。
いつも無茶な狙撃を事も無げにこなすゴルゴだが、本作の狙撃もかなりの無茶っぷりだ。ちなみに『そして死が残った』では警察の留置所という“法の守り”を得たターゲットをある方法を用いて狙撃した。こちらも狙撃不可能な相手を如何にして狙撃可能とするかという点で類似の作品。トリック好きな読者にお勧めの一品だ。
この作品が読める書籍はこちら
小摩木 佑輔
最新記事 by 小摩木 佑輔 (全て見る)
- ゴルゴ13:第22話『Dr.V.ワルター』のみどころ - 2022年1月13日
- ゴルゴ13:第32話『帰って来た標的』のみどころ - 2022年1月7日
- ゴルゴ13:第29話『価値なき値』のみどころ - 2022年1月1日