この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第10巻収録。前話からの続編。依頼主からの説明で“ある機関”の正体がわかり、その首領の抹殺を新たに請け負ったゴルゴ。しかし相手陣営の罠にはまり、相棒のマイヤが命を落としてしまう……。ゴルゴが頼りにする武器屋・カルロスの活躍も頼もしい。脚本:K・元美津
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ゴルゴとマイアのやり取り、訪れる悲劇
本作のみどころはズバリ、ゴルゴとマイアのやり取りを置いて他にはないだろう。寡黙で不器用なゴルゴの至らない部分を、人当たりのいいマイアが上手くフォローする。二人の皮肉を交えながらの会話には思わずニヤリとする読者も多いことだろう。
マイアが初登場する『鎮魂歌に牙を』でも「正しい作法を身につける機会がなくってな……」とマイアの料理を貪るゴルゴ。二人の関係性は皮肉の会話から始まっていた。そして本作でも「コーヒー成金にはなりきれなかったらしいな……」とマイアの元から去っていく。そんな皮肉に始まり皮肉に終わる二人の関係性の結末こそが本作最大のみどころだ。

僅かだが人間味を見せるゴルゴ
序盤からスリの手を手刀で骨折させるなど、『査察シースルー』などで見せたゴルゴの人並み外れた体術は本作でも健在だ。読者目線で見るとゴルゴに敵意を向けて骨折で済むなら安いものである。このように“危険なマシン”として描かれるゴルゴだが、面白いのはマイアが絡んだ際の彼の挙動だ。
ゴルゴ自身のルールとして依頼主は直接ゴルゴと会わなければならない。が、本作ではそのルールをクライアントが破っている。その際、マイアの決死の引き留めにゴルゴは応じているのだ。今回だけだぞ、と言わんばかりにタバコに火をつける仕草がいい味を出している。また、彼女に不幸が訪れた際も動揺を隠せずに驚愕する描写がある。黙祷を捧げるように目を瞑りながら立ち去る等、本作のゴルゴは僅かな人間味を見せている。
マイアの活躍が見せ場
前作からゴルゴのパートナーとして登場しているマイアだが、その活躍は目を見張るものがある。前述したゴルゴがスリとひと悶着起こした際、上手にフォローした手際は見事だった。
また『査察シースルー』で強引に依頼を受けさせようとしたサンタとは違い、ルール違反を犯したクライアントの依頼を誠意をもって引き受けさせるなど、なかなかできない芸当をみせている。他にも探索機による敵基地の偵察をする際も一早く謎の機影を発見する、敵に羽交い絞めにされながらもヒールの仕込み刃で果敢に抵抗するなど、彼女に関する描写が大きな見せ場となっている。

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小摩木 佑輔

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