この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第10巻収録。第48話からの続編。人ごみでごった返すリオのカーニバル。そこへ逃げ込んだオーベルトを見つけ出すため、ゴルゴは古典的な方法で追跡。ゴルゴの協力者・カルロスも命を落としてしまう大激闘の末、ついにオーベルトを追い詰める。ゴルゴvsネオ・ナチの戦いがついに完結。
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最後の決着はサンバが響く灼熱の地
一見してタイトルの意味がわからなかったが、冒頭の解説で「カーニバル」のラテン語であることが理解できる。酷寒の地でのミッション『アラスカの工作員』で始まった5話オムニバス形式のシリーズが、サンバに燃える灼熱のブラジルで終止符を打つ。
カーニバルでのコンガの音がモールス信号であることを観客に気づかせる設定により物語に自然に引き込まれ、直後、ゴルゴが刺客に襲われる場面となり、一気に緊迫した展開になる。炸裂するゴルゴの跳び蹴りの姿に『ゴルゴダの少女』のファネット・ゴベール嬢が重なるのはやはり血筋だろうか。
ゴルゴは一日にしてならず
これは最近読み始めた方々にはぜひおすすめしたい初期作品である。今でこそ一分の隙もないようなゴルゴだが、この時期は女性に対し結構脇が甘かったり、まだ信頼できる人脈が築けていなかった故に、ターゲットのアマイゼン探索を旧知のカルロス頼みにした結果、敵の反攻を受け、彼を失う羽目になったりする。
こうした失敗を糧に仕事を完遂するための戦略をひとつひとつ練り上げ構築していったと思われる。「失敗」でへこんで終わるか、それをひとつの経験と捉え、糧にするか、道は二つに一つであり、どちらを選択するかで生き方は決まる。
尽きる事なき第三帝国の野望
シリーズ3作目『リオの葬送』の冒頭で、ブラジルに居住する人種の雑多さと、それが犯罪者の流入が後を絶たない理由であることを解説しているが、実際、ナチの残党がモサドにより摘発されるケースは南米であることが多い。
人が姿を隠すには人混みが一番であり、ましてリオのカーニバルには世界中から人が集まってくるのだから格好の隠れ蓑だろう。ゴルゴと対峙したアマイゼンの最期は、ヒトラーが、自らの遺体を自決後にガソリンで焼くように命じたという逸話を思い出させる。この第三帝国の野望は今なおくすぶり続け、世界を脅かしている。
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野原 圭
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