この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第78巻収録。モンタナ州の針葉樹林に、軌道修正に失敗したソ連の原子炉衛星が墜落した。回収に向かったKGBは衛星を確保するが、米国防総省に追われてしまう。やむを得ず樹林にあった山小屋に、所有者を人質として立てこもるKGB。しかし山小屋の所有者とはゴルゴのことだった……。
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珍しくウキウキしている休暇中のゴルゴ
普段、感情を抑制しているゴルゴがウキウキしているのを見られるのは、数少ない休暇シーンの時くらいだ。今エピソードでも別荘の屋上でデッキチェアに寝そべっているが、『夜は消えず』でもベランダでデッキチェアに寝そべり日光浴するシーンがある。さらに、小鳥の気配に思わず銃を取ったものの自分の警戒心にあきれ、銃を放り出す。
『夜は消えず』では日が落ちるまでゆっくり休めたようであるが、今エピソードでは、日が傾く頃にはヘリや落下傘部隊が登場し、いつものワーカホリックのゴルゴに戻らざるを得なくなってしまう。
ゴルゴシリーズ史上最も不幸な男
イワンは本国ソビエトに戻れると信じて真面目に極秘任務をこなしていただけなのに……。それと知らされずに小型原子炉を担ぎ、放射能障害かルビアンカ監獄の二者択一を迫られ、挙句の果てに原子炉とともに核シェルターに閉じ込められてしまう。
小見出しでは「ゴルゴシリーズ史上」と付けたが、ゴルゴシリーズ史上はおろか、世界史上最も不幸な男ではないか。原子炉とともに核シェルターに閉じ込められてしまう、ブラックジョークとも思える逆説的な構図がいっそう不幸度を増している。合掌せずにはいられない。
核の陰にゴルゴの活躍あり
今エピソードで米国北西部の放射能事故を阻止したゴルゴであるが、原子力をはじめとした核の危機を扱った作品は、ゴルゴの活躍が多数見られる人気テーマである。初期作品では『折れた矢』や『プルトニウム239』、全米をパニックに陥れかねない原子炉事故を狙撃で食い止めた名作の誉れ高い『2万5千年の荒野』、インド武官になりすまし、狭い原潜内でも無敵の活躍を見せる『北緯九十度のハッティ』などがある。
『冥王の密約』では地下核実験の原子力爆発を間近で受けてしまい、大量被曝寸前のところをDr.ノイマンに助けられる。Dr.ノイマンには、珍しく自ら連絡方法を渡しており『パッチワークの蜜蜂たち』での恩返しにつながっている。
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片山 恵右
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