この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第87巻収録。死んだ人間を冷凍保存し、科学の発達した未来において蘇生させる「長期冷凍保存システム」を高額で販売するトランジター社。黒幕は銀行家のケインズで、この保存システムには生前はもちろん、死後においても顧客の財産を二重に搾取する裏の目的があった……。
スポンサーリンク
夢の技術・人体冷凍保存術
人間の遺体を荼毘に付すことなく、未来の技術で甦りを果たすために冷凍保存すること(もしくはその技術)を“クライオニクス”と呼ぶ。なんとSF的発想か。類似のものに”コールドスリープ”がある。
こちらは遺体保存ではなく、生きたまま人体を冷凍することで冬眠・仮死状態に保存することを指す。今エピソードでは前者の”クライオニクス”が取り上げられている。全くの架空の話ではなく、モデルとなったであろう実在の企業・団体が存在する。アルコー延命財団やクライオニクス研究所がそれにあたるだろう。
クライオニクスの未来
クライオニクス周辺には興味深い話がいろいろと落ちている。最後の4割打者と言われる名野球選手テッド・ウィリアムズの頭部はアルコー延命財団で冷凍保存されている……。杜撰な技術管理を暴露した『人体冷凍・不死販売財団の恐怖』という本の著者は命を狙われて潜伏生活中……。アメリカ横断ウルトラクイズの優勝賞品になったこともある。
エピソード中で『冷凍技術はある……だが蘇生に関する技術もヴィジョンもない……』とゴルゴにツッコミを入れらている。ゴルゴのツッコミから30年を経ても“蘇生”に関する技術は確立されていない。
飛行機から飛行機への狙撃
『アルヘンティーノ・ティグレ』では、搭乗機(シーハリアー)からM16 で高性能追尾ミサイルを撃ち落とす超絶技巧を見せたゴルゴ。今エピソードでは飛行中の戦闘機から、同じく飛行する小型ジェット機内の人体保存カプセルのバルブを打ち抜く技巧を見せる。
しかもその1弾目は次への誘い水で、2弾めでさらに難しい1インチ足らずのパイプの穴を撃ち抜くのである。かつて『ラストループ』ではプロペラ機で逃げるターゲットを自分もプロペラ機に乗って狙撃したこともあるが、飛行速度や標的の大きさからすると今エピソードの方が断然難易度が高くスリリングだ。
この作品が読める書籍はこちら
片山 恵右
最新記事 by 片山 恵右 (全て見る)
- ゴルゴ13:第211話『AZ4 CP72』のみどころ - 2021年11月14日
- ゴルゴ13:第410話『イリスク浮上せよ』のみどころ - 2021年6月11日
- ゴルゴ13:第283話『未来への遺産』のみどころ - 2021年5月20日