この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第15巻収録。前話「隠し子」の続編で、お園を中心に話がすすむ。前話で取り逃がした峰山の初蔵一味を捕縛せんとする火盗改方。しかし、北町奉行所の妨害もあり捜査は難航する。お園を救うため、平蔵は一か八かの賭けに出るが……。お園と同心・小柳安五郎との恋も必見。
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腹違いの妹、お園
作品としては「隠し子」から続くストーリとなる。鬼平の父親に実は隠し子がいて、つまり異母妹が地元の悪に絡まれているという話の続編だぞ。
男勝りの威勢の良さを持つお園ではあったが、恋ともなるといささか不器用なのかもな。前妻を出産時に亡くした小柳同心は硬派だったはずが、いつの間にやらお園にぞっこんのようだ。
当のお園も、真面目一筋の小柳を悪く思っていない様子で、二人の恋の行方も気になる所だ。美人なお園に惚れたのは辰蔵も同じで、叔母に惚れての、平蔵と久栄が大慌てなんて描写も見どころだな。
盗賊の逃げ込んだ先
火盗改メから放たれた盗賊が向かった先は隅田川の中州とある。隅田川の中州には葦(ヨシ)が生い茂っていて、そこに逃げ込んだ盗賊を追うストーリーなのだがここで余談をひとつ。
遊郭として有名な“吉原”という地名があるのだが、この吉原という名前、実はこの描写と非常に深い関係があるのだ。日本橋葺屋町、現在の人形町のあたりに元吉原という遊郭が誕生した。吉原という名前は、葦が生い茂る原っぱという意味から、吉原の名前が付いたのだ。
その後、浅草寺裏に遊郭が移転した際に名前をそのまま引き継いだという事だな。なので現在の吉原の地名の由来は、実は海沿いの辺鄙な土地を表す言葉から来ているぞ。
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鬼平、執念の捜査
葦原を掻き分けての捜査が無理だと判断した鬼平は、まさに奇策をとったぞ。放火を取り締まるべき立場の人間が放火をするという前代未聞の奇策だ。
北町奉行との関係悪化も恐れず、正義のために火を放った鬼平だった。このような策略の前に小悪党どもは、まさに燻し出されたわけだ。葦原の中州に燃え広がる炎。二人の間に燃え始めた恋の炎。
盗賊を捕縛する為に放たれた炎もあれば、皆の幸に繋がる炎もあるという。火も使いようによっては良くも悪くも働くわけだ。火遊びをして大やけどをしないように、気を付けたいものだな。
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滝田 莞爾
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