この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第27巻収録。美貌の女賊・掻堀のおけいが登場。上方の兇賊・和尚の半平一味と組んで、大奥御用達の白粉問屋を狙うおけい。しかし囲っていたツバメ・鶴吉の裏切りで計画は思わぬ方向に……。第8巻『流星』で島流しにされた友五郎が、平蔵の密偵として復活している。
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昔の手下
大滝の五郎蔵がぶらりと街歩きをしている際に声を掛けてきたのは、以前に五郎蔵の手下だった砂井の鶴吉。若気の至りからか、本格の掟を守れなかった鶴吉は五郎蔵から破門をされた経緯があるのだ。昼時分で五郎蔵が連れ入った店は深川の豊島屋だった。この店、鬼平犯科帳に登場するのは初めてではなく、『男色一本饂飩』などの作品においても登場するぞ。
未だに盗賊稼業から足を洗えていない鶴吉は、どうやら女賊と深い関係を持っているようで。惚気話にも聞こえるが、相手の女性こそが盗賊界でも有名な誑し込み“掻堀のおけい”だった。世の男を虜にする女賊の色香とはいかに。鬼平たち男所帯ともいえる火盗改メはその誘惑に勝てるのだろうか。
女盛りの40過ぎ
掻堀のおけいが40過ぎという描写からも、相当な年を重ねた女性として描かれているようだな。江戸時代、女性の初婚はさぞ低年齢だったというイメージがあるぞ。平安時代あたりでは10代中盤での結婚が多かったそうだが、江戸時代ともなると初婚年齢も上がってきているとのこと。実際は16歳~20歳で初婚を迎える女性が多かったようだな。
農村の方が若干早かったとも言われるが、年増というのは20歳を過ぎた頃から言われる表現だそうで。そう考えると、40過ぎの掻堀のおけいがいかに凄いかという話だな。現代の40歳はまだまだ花盛りだ。もっと健康であり続けて、江戸っ子たちを見返してやろうではないか。
鬼平の見事な陽動作戦
鶴吉とおけいのカップルが入り込んでいたのは高級な白粉問屋。既に誑し込みとして潜入しているおけいを炙り出すには、何かしらの策を練る必要があった鬼平だ。そこで鬼平の妙案が光る。
おけい達にブラフを掛けて、見事なまでにその作戦に引っ掛かった盗賊たちの姿が見どころだろう。伝説の女賊おけいと鶴吉の行く末はいかに。果たして昔の手下を案ずる五郎蔵の思いは届くのだろうか。
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滝田 莞爾
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