この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第2巻収録。男色の数学者・寺内武兵衛が、うどん屋で一目惚れした同心・木村忠吾を誘拐する。寺内の正体は盗賊の頭だが、忠吾を同心だとは知らない。おつとめが終わり次第、忠吾を好きに嬲ることを夢想する寺内。はたして忠吾は救出されるのか?第九巻までを先に読んでおくのがオススメ。
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名物三枚目木村忠吾の回
私は原作と劇画版どちらも甲乙つけがたく好きだが、木村忠吾という人物に限っては劇画版の彼の方が好きだとはっきり言う。原作の木村忠吾が嫌いということではないが、劇画版の彼の造詣がコミカルで、まさに忠吾としか言えないのだ。
表情や動きもユーモラスで、調子のいいところがありながらも根は平蔵に忠誠を誓う、憎めない人間という忠吾のキャラが完璧に表現されていると思う。
木村忠吾は第一話『鬼平犯科帳』から少しずつ登場しているが、この回で初めてピックアップされる、ほぼ初登場回と言ってもいい。初登場から大変な目に合うが、だからこそ読者に木村忠吾というキャラの印象が強く植え付けられた。
木村忠吾は仕事ができない?
他の方から見た鬼平犯科帳の登場人物像を見ていると、たまに木村忠吾は仕事に関してはあまり有能とはいえないという評価をされていることがある。いろいろな見方があるだろうが、私は忠吾という人物は決して仕事ができない同心というわけではないと思っている。
この回でも忠吾は警戒を解いてしまうものの尾行に気が付いてはいるのだ。何より仕事に対して意気込みのない人間を平蔵は傍に置かないだろう。別の回にはなるが、平蔵に叱咤激励され心を入れ替えて仕事に取り組む姿も見られる。
とはいえ、平蔵にもって「あ奴の事だ、どこぞの岡場所の女に、鼻毛を抜かれているやも」と笑い交じりに言われる人物なのも事実。そこが忠吾の魅力でもあるのだが。
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一本饂飩のインパクト
2013年に埼玉県羽生市にある上り羽生PAが『鬼平江戸処』としてリニューアルオープンした。ここでは鬼平犯科帳の世界観を再現した街並みや料理があり、私も何度か訪問したことがある。
ここのオープンに合わせてメニューも発表されたのだが、そのメニューの中に一本饂飩があったためネット上でこのエピソードと合わせて少々話題になった。
実は一本饂飩自体は平蔵の好物ということでこの回に限らずたびたび登場するのだが、どうしても題名になっているこの回の印象が強いのだろう。しかも題名が衝撃的だ。ちなみに羽生PAの一本うどんは作中の表現より太めだが、それはそれで美味しかった。
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大科 友美
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