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簡単なあらすじ
ワイド版第1巻に収録。凶悪犯専任の役所・火付盗賊改方の新長官に就任した長谷川平蔵。一刀流の目録で喧嘩に滅法強い平蔵を、人は「鬼平」と呼んだ。
記念すべき第一話の悪役には野槌一味の”小川や梅吉”。後に平蔵の密偵となる”小房の粂八”も初登場。平蔵の養女・お順の出自も明かされる。
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原作より先に触れた漫画版
私は現在三十代前半だが、実は鬼平犯科帳は原作の小説ではなく漫画から入った。小学生の時に父親が買ってきた鬼平犯科帳を読んでいたのだ。小学生でも鬼平の魅力は伝わってきて、一気に引き込まれたことを今も覚えている。
ちなみに父は娘が読んでいることに気がついて以来は子どもに読ませられない描写のある巻は目につかない所に仕舞っていたようだ。
数年して原作小説も一読以来すっかりファンになるのだが、漫画版を読んでいたおかげではじめから世界観にすんなり入り込めたというのは確実にある。
木村忠吾が“普通”のキャラ
木村忠吾といえば言うまでも無く鬼平犯科帳の名脇役のひとりだ。少しずるくてお調子者、剣の腕は良いとはいえず、でも心根はまっすぐで憎めない三枚目の若手同心。だが話が進むにつれて成長し、結婚も果たす。
彼が中心となる話もいくつかあり、鼻が大きくしもぶくれのあばた面というユーモラスな顔立ちは印象深い。この木村忠吾、実はこの第一話からしっかり登場する。
だが、初登場時の彼は良くも悪くも普通の顔立ちで、特筆すべき見せ場もないため印象は薄い。私は木村忠吾の人間味あふれるところが好きなのだが、正直初めは第一話に登場していることに気が付かなかった。
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鬼平の仕事ぶりと人情深さは史実
鬼平犯科帳は原作が小説ではあるが、鬼平こと長谷川平蔵宣以(のぶため)は実在の人物だ。しかも若かりし頃、ワル時代に「本所の銕(てつ)」と呼ばれていたこと、悪人には一切の情け容赦を掛けない反面庶民には優しかったことなども実際に資料に残っている。
何しろ庶民からは「本所の平蔵さま」「今大岡」とまで呼ばれていたとされているほどだ。鬼平の心の広さ、優しさを示すように第一話では盗賊の子であるお順を我が子として引き取っているが、これはさすがに創作ではある。だが、実際にそのくらいのことをしてのけそうなほど、度量が広い人間だったことは間違いがない。
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大科 友美
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