この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第30巻収録。長谷川家出入りの刀屋・相州屋に、一膳めし屋の女主人が刀を売りに来た。その刀がなかなかの業物であったことから、不審に思った平蔵は捜査を開始。なんとその刀は、十三年前に忽然と姿を消した名刀中の名刀・新藤五国光だった……!同心・密偵総出演の大追跡もみどころ。
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名刀の出所は
鬼平と忠吾が馴染みの刀屋、相州屋にて刀談話をしているところに謎の女が現れる。女の持ち込んだ短刀は、なんと國光の代物だったのだ。それほどの名物を売り込むにも関わらず、折紙(鑑定書)の存在すら知らなかったあたり、鬼平は何かあると睨む。鬼平が短刀を買い上げ、同時に女に対して探りを入れるのだ。
ほぼ情報が皆無の状態から、鬼平たちが総力を挙げて解決に乗り出す。刀を売り込んだ女の帰った先が小料理屋、小浪。現れた盗賊の名前が、さざ浪。密偵が聞き込んだ盗人宿の名前が、船宿さざなみ。さて、さざなみという名前でしか共通項が無いのだが、鬼平はどのように切り開いていくのだろうか。
どこかで聞いた名前
さざ浪伝兵衛という盗賊が暗躍するストーリーなのだが、どこかでこの名前を見た事があるのだ。思い出そうにも鬼平犯科帳には、他に一切登場していない名前だ。いやしかし、名刀、さざ波伝兵衛、手下の蟹蔵、伊之助の殺害、溺死……間違いなくこのキーワードは記憶にある。これがまた意外な所から記憶に残っていた。
なんと池波正太郎原作の別漫画にはなるのだが、剣客商売「亡霊」というタイトルが、まさにさざ浪伝兵衛のストーリーだぞ。どのような経緯でこうしたクロスオーバーが生まれたかは判然としなかったが、同じ原作を扱っている事は間違いないだろう。鬼平犯科帳と剣客商売とでは、同じ話も全く質の異なるテイストになっている。これもまた時代劇漫画の楽しみだな。
お化けが溺れさせる盗賊
國光の短刀を売り払った金を持って駿州、由比へと旅立つ盗賊たち。どうやら過去の殺人から、幽霊に悩まされている様子がちらほら見られるな。旅の途中で伝兵衛一味は抑え込まれるのだが、伝兵衛は脱出に成功する。
逃亡を図るために船頭を襲った伝兵衛が見た物こそ、幽霊だったのかもしれないな。幽霊によって正気を失う盗賊を描いた作品だ。少し難解なストーリーに思われる節もあるが、読み応えのある作品に仕上がっているぞ。
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滝田 莞爾

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