この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第39巻に収録。旧友・吉村嘉六が平蔵を訪ねてきた。小室藩に伝わる家宝・在中庵の茶入が何者かによって盗まれ、このままでは留守居役の吉村が腹を切らねばならないという。
茶器を見つけ出すことを約束した平蔵だったが、その晩、吉村は何者かに殺害されてしまう。葬儀の席で吉村の娘・りつと小室藩用人・財満とのただならぬ雰囲気をみた平蔵は、事件の発端は小室藩の内情にあると推理する。
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劇画版オリジナルの物語
本作『在中庵の茶入』と第165話の『女の道義』は、池波正太郎さんの短編小説『烈女切腹』をもとに劇画化された前・後編二本立てのエピソードです。
他に短編小説を二本立てで劇画化したものには、第267話の『後継ぎ』と第268話の『秘伝書』があります。この二編の特徴はストーリー、登場人物など多くの部分で原作を忠実に再現しているところ。
対照的に『在中庵の茶入』『女の道義』の二編は、メインキャラ・りつが切腹する事実以外、劇画版オリジナルのストーリー、登場人物で描かれているのが特徴です。
消えた在中庵の茶入の謎
前編は平蔵の旧友・吉村嘉六が火盗改方の役宅を訪ねるところから始まります。じつは小室藩の江戸藩邸から、茶道界の名器「在中庵の茶入」が何者かに盗まれてしまったのです。
茶入を発見できなければ、留守居役の嘉六としては腹を切るしかない。そこで火盗改方に内々に捜査を依頼してきたわけですね。しかし、その帰り道。嘉六は何者かの襲撃をうけて殺害されてしまいます。
葬儀の席上、嘉六の上司・財満平八郎を見て妖怪アンテナが立った平蔵は、直属の上司・京極備前守に小室藩の内情について意見を聞きにいきます。そこで京極備前守は”ある秘密”を平蔵に告げるのでした。
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みどころは、りつの烈女ぶり
京極備前守から茶入盗難事件の真相を聞かされた平蔵。しかし、相手は一万石の大名で、平蔵の立場ではどうすることもできません。備前守からも「手を出すな」と釘を刺されてしまいます。
そんな中、財満平八郎の屋敷では死装束で現れたりつが、短刀で財満の喉元をかっ切る事件が発生。一体、りつと財満との間にどのような因縁があったのか?そして、京極備前守が平蔵に明かした”ある秘密”とはなんだったのか?
いずれにしても他の女性キャラの仇討ちは、男性の助太刀を受けたうえで胸元へ短刀を突き刺す場合が多い。ですが、りつの仇討ちは単身乗り込み、しかも咽喉元をかっ切る徹底ぶり。劇画シリーズに登場した女性キャラのなかでも屈指の列女といえるでしょう。
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秋山 輝
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