この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第58巻収録。ソ連共産党次期書記長の座をめぐりライバル関係にある、KGB議長のアンドロポフと第一書記グリアシビリ。グリアシビリは秘書を使って機密情報を外部に流していた証拠をアンドロポフに掴まれそうになり、アンドロポフの抹殺を企むが……
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ソ連中央委員会における政治闘争
ブレジネフ、アンドロポフ、スースロフ、フルシチョフ、ウスチノフ……と1980年前後にソ連首脳部で活躍した懐かしい面々が登場する本作。しかしゴルゴのターゲットとなるニコライ・グリアシビリは見当たらない。
彼の地位であるスタヴロポリ(ロシア西部の都市)の党第一書記は本人曰く、「クレムリンでの俺の序列は下から数えた方が早いくらい」らしい。しかしスースロフの後ろ盾を得て中央委員会総会に参加し、アンドロポフ議長を追い詰める地位にいるのであれば、確実にソ連首脳の1人に違いない。複数の人間をツギハギした架空の存在なのだろう。
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敵とも味方ともなるゴルゴ
混迷するアフガニスタン戦線、ガリーナ(ブレジネフ書記長の娘)の逮捕、ツビグン将軍の自殺、ソ連の重鎮であるスースロフの病死、そしてブレジネフからアンドロポフへの政権移行、と本作における出来事は概ね史実通り。
その陰にゴルゴの活躍があったとするファンにとってはワクワクする展開になっている。本作をさかのぼること約1年。アンドロポフは『テレパス』で大事な証人をゴルゴに殺される失敗を被っている。仇とも言えるゴルゴを起用したアンドロポフ。依頼の場面は描かれていないが、どんな思いでゴルゴに対峙したのだろうか。
水中からの射撃に使った銃は?
本作のほかにも『海底の豚』でも水中からの射撃を行っているゴルゴ。狙撃ポイントとして警戒が緩む場所であり、そのまま逃亡できるところも選んだ意味があるのだろう。もっとも『海底の豚』では逃げる際に大きなトラブルに見舞われている。
興味深いのは本作でイタリア製の銃であるカルカノ91TSを使っていること。銃器の選択には常に慎重なゴルゴであればこそ、理由があってこの銃を使ったと考えたい。しかし今少し性能の良い銃があったのではないだろうか。それともおなじみの銃職人であるデイブによって特殊な改造が施されたのだろうか。
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