この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第195巻収録。2012年の米大統領選。再戦を目指すオズマと対抗馬のニームは、対イラン政策で真っ向から対立。劣勢のニームは形勢逆転を狙い、イランの核施設への空爆をけしかける。一方、新聞記者の兵頭は出張先のテヘランでゴルゴと遭遇、スクープの匂いを嗅ぎつける。
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アメリカ大統領選挙を左右する中東情勢
アメリカ大統領選挙は世界中が注目する熾烈な権力闘争だが、その裏側で「ここまでやるか」という策謀が赤裸々に描かれている。ユダヤの票をめぐる諺は、果たしてどちらに微笑むのか。今回のミッションはサンマリノの石弓職人クオモの仕事が成功の鍵を握るといっても良い。
石弓などいったい何に使うのかという興味を引き、困難な仕事なのに職人をその気にさせてしまう人使いの悪魔・ゴルゴの策士ぶりか遺憾なく発揮されている。作業にとりかかったクオモを後目に店を出るときのゴルゴの「やったぜ」という達成感に満ちた表情が最高である。
ゴルゴ御用達職人大集合
かつては考えられなかったことが可能な時代になった。今回登場するクオモやデイブ、『遺作』の銃砲店の女主人など、世界各地にゴルゴをサポートする職人達が点在している。彼らをオンラインでつないで依頼についての座談会を開いてみたい。
「あいつの無茶ぶりにはいつも泣かされるよ」「そうそう、俺なんか3日煮込んだシチューを食べようと思ったら、いきなり酷寒の地へ拉致されて星をぶっ飛ばす弾を作れときやがった」など、愚痴と自慢のオンパレードになりそうだが、画面にいきなりゴルゴが現れ「俺も入れてくれ」といわれそうで怖い。
ハイテク核施設vs古代武器の勝負
動物は基本的に怠けて楽をしたい生物であり、人間はその最たる存在である。その人間によって、施設にあけられた「蟻の一穴」に、ゴルゴの放った矢が命中し、最先端技術が石弓という古代武器の前に敗れ去り、ニームの野望もついえる。
せっかくのスクープを手にした兵藤が気の毒であるが、彼が撮影した、火の海の中をバイクで疾走するゴルゴの写真が格好良く、捨ててしまうのは惜しい。せめて自宅に飾るくらい良いのではないかと思うが、朝目覚めたらヘルメット部分に弾痕が刺さっているかもしれないと思うとやはり諦めた方が良さそうである。
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野原 圭
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