この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第52巻収録。ネオナチ組織は世界各地で事業を展開している。が、ブラジル・リオ地区は治安の悪化により収益が激減。治安回復が急務だと判断したネオナチ組織のムンツは、傭兵部隊「必殺隊」を組織し、犯罪者たちの排除に乗り出した。一方、司法省から必殺隊排除の厳命をうけたリオ警察署長は、ゴルゴにその仕事を依頼する。しかし、じつはゴルゴの報酬を用意したのはネオナチ組織であり、その裏には“ある陰謀”が隠されていた……。
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ナチスへの復讐を断っていたゴルゴ
ゴルゴシリーズで面白いのは敵や味方がコロコロ変わることだ。西側諸国の依頼ばかりでなく、ソ連や中国から依頼を受けたり、アメリカや日本を敵に回すこともある。そうした中でナチスやネオナチとは敵対関係になることが多い。
シリーズ1話『ビッグ・セイフ作戦』からナチスと関わってきたゴルゴ。本作の次に発表された『沸騰・第四帝国』ではナチスの復讐の依頼を断ってきたことが明かされているものの、『レイプ数え唄』では戦時中にナチスの収容所で性的虐待を受けた女性からの依頼を承諾している。この辺りはゴルゴへの頼み方にもよるのだろう。
キツネとタヌキの化かし合い
2016年にオリンピックが開催されたリオデジャネイロ。今は多少ましになったものの、本作発表の1981年頃は作中で説明されているように世界屈指の犯罪多発地域だった。興味深いのは役人や警官らが汚職に走る一方、ネオナチが悪化した治安に危機を感じているところ。
秩序が乱れすぎていては悪の組織も利益を得られないようだ。そこでネオナチは治安維持のために悪人を処分する必殺隊を組織し、これを危惧した警察署長が必殺隊の壊滅をゴルゴに依頼、ただし依頼の金はネオナチにと用立ててもらう……と、込み入った事情が描かれている。
あっけない必殺隊の最後
本作で見逃せないのはゴルゴがアーマライトM16とリボルバーを持参していること。もちろんゴルゴもリボルバーを使うことはあるが、本作で用意したリボルバーは銃身が長め。はっきり見分けるのは難しいが、S&WのM19かM38だろうか。銃に詳しい人にはぜひ見定めて欲しい。
襲ってきた必殺隊を撃退するゴルゴは、まずリボルバーで4発の反撃、次に敵から奪った手りゅう弾で追撃、さらにM16でダメ押しをしている。一連の中で左腕にかすり傷を負ったゴルゴだが、20人以上の傭兵団を相手にかすり傷で留めたゴルゴを凄いと言うよりない。
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研 修治
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