この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。南米を舞台に青年による凶悪犯罪多発問題を題材に贈るヒューマン・ドラマ。任務で負傷したゴルゴは、逃走中に地元の悪童・カステロに助けられる。差し出した謝礼を受け取らなかったカステロから、後日、依頼を持ちかけられたゴルゴ。その内容とは一体…?
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ゴルゴの恩人になるには
危機に陥ったゴルゴを助ける恩人のエピソードがいくつもある。鍵はどのようにゴルゴを助けるかだ。冒頭で登場したゴルゴは、かろうじて歩けるくらいの負傷をしている。凄腕の殺し屋とやりあった結果だが、ゴルゴをここまで追い込むとは『落日の死影』のAX-3か、『氷結海峡』のエスキモーのジョーくらいの腕前だったのかもしれない。
そんなゴルゴをかばったのはチンピラの青年カステロ。追手にわざと情報料を要求した演技でゴルゴをかばい通したカステロは、ゴルゴが謝礼に出した札束を気まぐれに拒否した。ゴルゴファンなら「正解」と言うだろう。
格安の依頼料
ゴルゴの正体を知ったカステロは、麻薬組織に捕まった弟分であるロメロ救出の手助けを依頼した。ゴルゴへの報酬にカステロは袋いっぱいの札を示したものの、後にゴルゴが「割引」と言ったように依頼料としては格安だ。
それでもゴルゴが依頼を受けたのは、1,危機を助けられた。2,依頼人自ら動く(ゴルゴはフォローに徹する)。3,別の依頼で関係する麻薬組織の内情を探れる。この3つが理由だろう。人情的には弟分を助けるカステロの熱意と、「(今後は)真面目に暮らしたい」との願いにゴルゴが同情したと思いたいが、そこまでは考えすぎか。
カステロの思いは届いた?
本作ではゴルゴの威嚇狙撃が見もの。弟を助けるカステロのフォローとして、麻薬組織のメンバーを脅すように帽子や足元、さらに花瓶や柱をアドリブで狙撃する。実現していないが『ピリオドの向こう』でイヤリングを狙撃する依頼を受けたゴルゴにすれば朝飯前だろう。
2度目の救出依頼をゴルゴに断られたカステロは、麻薬組織に単身乗り込んでいくが、あと一歩で失敗する。敵地で一人生き残ったロメロにゴルゴは、「使い方は自分で決めろ」とカステロからの依頼料をそっくり渡す。つまり初回の依頼は実質無料だ。カステロの思いがゴルゴに届いたと信じたい。
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2023年8月現在、単行本未収録作品です。ビッグコミック本誌でしか読めません。
ビッグコミック『ホンジュラスの兄弟』掲載号
研 修治
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