この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第18巻収録。縄張りを乗っ取ったマフィアのボス。彼は縄張りの元の持ち主・ベントナが、不敵な笑いを浮かべていることから、ベントナは自分を亡き者にするため策を練っていると推理する。調査の結果、ベントナがゴルゴを雇っていることが判明。彼は組織の暗殺部隊の精鋭を召集しゴルゴに対抗するのだが……。脚本:浜家幸雄
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ゴルゴの狙撃動作を徹底解説
今回はゴルゴの狙撃術がテーマであることから、マフィアのボス同士の縄張り争いの最終決着としてゴルゴが依頼を受ける、といういたってシンプルなストーリーである。そして、敵対勢力の暗殺部・トムソンにゴルゴの狙撃動作や技術を詳細に語らせている。
トムソンはゴルゴの動作の研究目的に、3人の若手を狙撃動作撮影のために犠牲にする。撮影に成功したフィルムに映る狼のような敏捷性と、最後の連射での、重い銃を静止したまま正確に操作する持続力、相反する2つの動作を併せ持つゴルゴの凄さが遺憾なく発揮されたミッションであった。
もはや絶滅危惧種のフィルム
タイトル「24分の4」の24とは、1秒は24コマのフィルムで構成されている、という意味である。「フィルム」この名称を理解し現物を見たことのある世代はどこまでだろうか。かつて写真も映画もフィルムに映像を記録していた。
フィルム生産、販売、現像や編集、映画館での映写機による上映、これら一連に関わる産業や技術者が、デジタルカメラの出現により瞬く間に一掃されてしまった。反面、今や写真は何枚でも好きなだけ撮れるし映画もデジタルカメラやスマートフォンで誰でも撮影でき、編集も簡単になり、安価に作れるようになった。
引き受けた仕事は必ずやり遂げるのがプロ
タイトルが意味する映画のフィルムを思わせるコマ割とゴルゴの見せるプロの矜持が印象的である。依頼主のベントナが死に、その妻や手下が依頼を取り消すというのに対し「仕事にはいった以上、依頼主以外の話を聞く気はない」と返す。
報酬は既に手にしており、返還を求められている訳でもないのだから、敢えて危険を冒すことはないのだが、仕事もしないのに報酬は受け取れないことと、何より依頼主が自分の仕事を信じて亡くなったことが、プロフェッショナルとしてのあの言葉になったのだろう。防弾ガラスも貫く弾丸に彼の強固な意志をみた。
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野原 圭
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