この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第148巻収録。地元住民や環境保護団体の反対を押し切って、フィリピンの孤島に液化天然ガスのプラントを建設するフェニックス社。しかし液化天然ガスのプラントというのは隠れ蓑で、本当の目的は中東へ化学兵器を供給することだった。泣き寝入りするしかない住民は、環境保護団体・緑十字を通じてゴルゴと接触する……。
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ゴルゴの敵となった共和国とは?
スパイ養成所を爆破した『潜入者の素顔』、氷山を破壊した『アイスバーグ・カット』のように破壊工作を依頼されることもあるゴルゴ。今回のターゲットは化学兵器工場。それもフィリピン沖の孤島に建設されたLNG(液化天然ガス)工場にカモフラージュしたものだ。
工場を建設・運営するのは表向き西側企業のフェニックス社となっているものの、黒幕として国連監視下にあるアラブの某共和国がセリフの端々に出てくる。
発表した2002年を考慮すればイラク以外には考えられないのだが、頑なに具体的な国名を出さなかったのは用心してのことだろうか。
依頼者の真の正体を考える
工場従業員に協力させたゴルゴはLNG工場を爆破する。明確には描かれていないが、ゴルゴを甘く見ていた工場経営者も焼け死んだはず。
本作で気になるのは依頼人の立場だ。ゴルゴに会って依頼したのは環境保護団体スタッフの青年バートと島の神父の2人。工場の爆発を見た神父は、「今度の事は、もっと大きな力が影で動いた」と推測している。
もう1人のバートはゴルゴの指示に反して島に残っただけなく、ゴルゴの狙撃や殺人を目の前で見届けている。目撃者を許さないゴルゴにしては珍しいが、バートが“もっと大きな力”の代理人とすれば納得できそうだ。
爆発した島の復興は可能か
本作の最初のページ、まるっと1枚使って舞台となった島の全景を描いている。はっきりと区切りはないが、少なくとも島の6割が、多く見れば8割が工場の敷地となっている。
それが業火に包まれたとなれば、実質的な消火は不可能。全てを焼きくした後の自然鎮火を待つよりないだろう。全島民は舟で避難こそしたが、着の身着のままでペットすら置いてきている。
神父は、「フェニックス社が地獄の業火に焼かれている……島は、我々の手に戻ってきたのだ」と言っているが、傍らにいる島民たちは呆然と見守るばかり。果たして島の再建はできるのだろうか。
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研 修治
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