この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第16巻収録。二千石の大身旗本・横田大学義郷の嫡男が誘拐された。身代金は千両。家康公から賜った”国光の短刀”も一緒に持ち去られているため、事件を公にできない横田家は、火盗改方に極秘裏に解決してほしいと依頼する。捜査に乗り出した平蔵は横田家内部に密通者がいるのではと推理する。
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新年早々に起きた誘拐騒ぎ
富士、神楽、獅子舞、門付け、長谷川の家族や親族そろっての百人一首とのどかな雰囲気から始まる本作。そうした中で惰眠をむさぼっていた平蔵を、佐嶋が訪れて叔父が勤めているお屋敷の相談を持ちかけたことから状況が一変する。
『むかしの男』『二度あることは』などでも誘拐が度々起こっているが、金銭目当てだったり、怨恨だったり、大泥棒の前段階だったりと理由は様々。
本作では金銭目当てと見せかけて過去の私怨が元になっている。平蔵の鋭い観察眼と怪しい人間を見極める直観がなくては無事解決に至らなかった可能性が大きい。
平蔵ら三人の見事な変装
現代の刑事ドラマでも誘拐犯に見つからないよう刑事が変装して被害者宅を訪れることがある。佐嶋の叔父が勤めるのは大身二千石の旗本である横田家。
その嫡男が誘拐され、家宝の国光が奪われたと知った平蔵らは、鳥追い(歌や踊りを見せてお金を貰う芸)に化けて誘拐一味の目を逃れている。
「唄は好き」なお園が三味線が達者であるのはともかく、平蔵や佐嶋の棒を打ち鳴らしながらの踊りっぷりも見事。若い時分に遊び人だった平蔵なら踊りのひとつも見知っていて不思議はないが、一見堅物に思える佐嶋もそれなりに遊んでいたのかもしれない。
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度胸満点なお園の活躍
鳥追いの三味線を弾いただけでなく、平蔵の意を受けて横田家が秘密にしていた過去の恥まで聞き出したお園。出がけに一杯ひっかけて、「これは面白くなりそう」と言って出かけるところは度胸満点。佐嶋ですら、「おまさも顔負けかも」と言っている。
また、戻った後、顔も知らぬままに亡くなったと聞かされている父親-もちろん平蔵の父とは知らない-に悪態をつく一方、「親を恨んで生きてどうなるの……?」と誘拐犯の又太郎に、涙を流しながら厳しい言葉を投げかけて人殺しを思いとどまらせるなど、八面六臂の活躍を見せている。まさに平蔵の妹だ。
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研 修治
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