この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。Gの遺伝子を受け継ぐ天才少女・ゴベールが3年ぶりに再登場する。不法移民の少年・サマンから危機を救ってもらったゴベール。そのサマンが失踪したと聞き、ゴベールは調査を開始する。移民を私的処刑する謎の集団に辿りついたゴベールだが、そこには……。脚本:夏緑
ゴルゴ13スピンオフシリーズ『Gの遺伝子 少女ファネット』好評発売中!
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あの史上最強のマドモワゼル再見参
『Gの遺伝子』で閃光のごとく登場するや、姑息な企てをする野郎どもをバッタバッタとなぎ倒し、鮮烈なインパクトを瞼に焼き付けたあのスーパー美少女、ファネット・ゴベール嬢が再登場する。『Gの遺伝子』で絶体絶命のところをゴルゴに救われたが、今回は逆にゴルゴを救うことになる。
何といってもゴベールが理屈抜きに格好いい。フィクションだもの、というなかれ。ある国で車椅子生活の大統領を警護していたのは隙のない少年だったし、かつてイラクには「ズハラット」(花のつぼみ)という、銃をかついだ少女達の軍隊も存在していた。

若き才能を収奪する強欲な大人達
裕福な家庭の育ち、才色兼備・文武両道のパリジェンヌ・ゴベールを、大人たちは広告塔として利用しようとするが、彼女の身体能力の高さは東欧民族の特徴であるように思える。
オリンピックで、重量挙げ・ハンマー投げなど、特に筋力が必要な競技で上位になるのは東欧の選手が多く、ハンマー投げでオリンピック・金メダルに輝いた、あの室伏広治の母上もルーマニア人である。
ゴベールの出自が、父親も定かでなく、母親は東欧の移民女性と知ったとき、彼らはどのような顔をするだろうか。「氏より育ち」という日本の諺を、彼らに贈呈したい。
天才少女の孤独な心に触れた一言
シリア難民の少年サマンの「あんたは学校に行って友達もいて、そんなに美しい。なのに俺と同じ、故郷を失った迷子のように寂しげな目をしているのはどうしてだい」の言葉が心に刺さる。今まで出会った中でこれほどゴベールを深く理解し、心の琴線に触れた人間はいないだろう。
お互い偶然出会い、わずかな時間を共有したにすぎないが、そこには民族・性別・年齢すべてを越えた「真の友情」が結ばれた。それゆえ彼女は命がけでサマンを救出しようとした。最後は、背筋も凍る恐ろしい事実が明かされるが、彼らの友情に救われる思いがする。

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野原 圭

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