この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第15巻収録。狙撃の際、不発弾が混入していたことにより、ゴルゴが仕事を完遂することができなかった数少ない失敗エピソードのひとつ。この不発弾が仕組まれたものなのか、ただの偶然だったのかゴルゴの追及がはじまる……。ゴルゴ・ガールは美形ベリー・ダンサーのデブラ。脚本:K・元美津
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お色気たっぷりの女性キャラクター
1968年から始まったゴルゴシリーズ。青年向けの「ビッグコミック」に掲載されていたこともあり、当初はより扇情的なカットが多かった。本作でもヒロインにベリーダンサーのデブラ・パシャを登場させている。他のヒロインと同様にゴルゴとの情事を演じている他、ページの3分の2を使ってデブラのダンスシーンを大胆に描いている。
年配の見物客曰く、「年がいもなく妙な気分にさせられるよ」とのこと。多くの読者も同感だろう。もっとも多くのヒロインが悲劇的な最期を遂げるのはこのころから変わっていないようだ。
3発の銃弾はゴルゴの若さか
『神の眼力』で警告の意味を込めてわざわざ両眼を撃ち抜いたこともあるが、基本的にはワンショットワンキルがゴルゴのやり方だ。しかし、イスラエルの工作員に捕まったデブラがゴルゴをかばうような動きをして喉を切り裂かれた後、ゴルゴはイスラエルの工作員に3発の銃弾を撃ち込んでいる。
まず胸、そして眉間、さらに背中から。もちろん最初の1発で工作員の反撃は終わっており、後の2発は蛇足と言っても良いだろう。1972年に発表された本作。「設定が固まってなかった」とは思わず、若きゴルゴならではの感情の暴走と考えてみたい。
完璧な狙撃を裏打ちする努力
本作では2つの注目点がある。不発弾によりゴルゴが狙撃を失敗したこと。そうしたアクシデントが極力起こらないようゴルゴが備えていること。作中でテロリストの専門家を名のるドクター・サリンジャーが言うには、ゴルゴは100発中80発を試射し、残りの20発を実戦に使うことで、コンマ以下にまで不発弾の確率を下げているそうだ。
それでも不発弾が発生した原因を追究し、自らの手で排除するゴルゴ。すがりついて靴まで舐めて命乞いをする武器屋の胸を躊躇なく撃ち抜いている。これもまたゴルゴが行う努力の一環と言えそうだ。
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研 修治
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