この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第147巻収録。国連人権委員会より、コンゴ大統領の暗殺阻止を依頼されたゴルゴ。大統領がウガンダ訪問時に狙撃されるとの情報を得たゴルゴは、ウガンダ軍が用意した若手スナイパーと共に襲撃地点へむかうが……。三人のスナイパーが、それぞれの射撃テクニックとプライドをかけて対峙する。脚本:ながいみちのり
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ゴルゴの“仕事の流儀”に酔いしれる一編
今作はゴルゴのスナイパーとしての信条が垣間見える貴重な回となっている。ウガンダ軍の狙撃兵・オノと一緒に、大統領暗殺計画が企てられる場所に赴くところからしてゴルゴは違う。現場がすぐそばに迫っているのにもかかわらず、一度車から降りて、樹木を的にゼロ・インと呼ばれる照準調整を入念に行うのだ。
対してオノは狙撃間際の今頃になって着弾の調整を行うゴルゴを小馬鹿にしてゼロ・インを怠る。結局、そのことが命取りとなるオノに対して放ったゴルゴの言葉が印象的だ。「…どんな銃でもサバンナを100キロ以上のスピードで疾走してきて…狙撃直前に、ゼロ・インをしないで仕事をする、そんな自信は、俺にはない…」どんな任務であろうと軽率な行動はせず、慎重に準備を行う。超A級スナイパーとして長年活躍できる所以がここに伺えるような気がする。
仕事人・ゴルゴの名言連発
そしてゼロ・インを怠らなかったゴルゴは、敵が仕掛けた爆弾のわずかな幅の導火線に照準を合わせて、寸分たりとも狂いなく撃ち抜き、爆発を阻止。さらに狙撃地点から移動することなく、敵の狙撃手の動きを完璧に読み、大統領暗殺を食い止める。
「や、奴は動かず、俺は移動したッ!!…俺の方が有利な条件のはずだ…だが狙いをつけて撃ったのは奴が先とは…これはどういうことなんだ!?…奴には俺の動きが読めていた、ということなのかっ!?」と同じスナイパーとして相手に圧倒的実力差を見せつけてくれたのは見事だった。 最後にオノが自身の未熟さを恥じた際、ゴルゴが語りかけたこの言葉も名言だ。
「…普通の世界なら未熟は恥じる事ではない…だが、俺たちの世界では未熟な者に、いつかは、決して訪れない…」数々の修羅場を踏んできたゴルゴだからこそ言える奥が深い言葉である。
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秋山 輝
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