この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第37巻収録。アメリカ国家安全保障局の秘密会議「303グループ」。彼らは最新コンピューターを使用してデータを解析した結果、ゴルゴ13は国家の脅威となりえると結論づけた。かくしてゴルゴを抹殺するための作戦「野獣狩作戦」が動き出した……。脚本:岩沢克
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ゴルゴVS軍隊
『メジャー・オペレーション』『激突!AK-100vsM-16』『最後の戦場』『AZ4 CP72』など、ゴルゴvs軍隊の構図は多い。ゴルゴの能力を考慮して特殊部隊で立ち向かうことが多いのだが、今エピソードでは、あまりにも軽率にゴルゴに敵対するため戦闘シーンに読みごたえはないのが残念だ。
唯一、走行中の戦車のキャタピラのピンを狙撃して不能にするゴルゴのスゴ技だけが見ものである。そもそもホワイトサンズ基地はミサイル性能試験場、実験場の性格の基地で対ゴルゴ用の布陣を敷く要員と装備に欠けており、NSCの大統領補佐官の作戦ミスとしか思えない。
アメリカ最大の軍事施設
ホワイトサンズ基地は、史上初の核実験が行われたトリニティサイトも有するミサイル基地だ。広さは8千平方キロメートルを超え、日本の兵庫県と同じくらいの面積を誇るアメリカ最大の軍事基地である。
歴代の司令官はエリートぞろいのはずであるが、今エピソードで描かれるマクフォール司令官には組織を率いる者に必要な威厳が全くない。戦車数台でノコノコと前線に出てきて、最後はヤケクソになってハッチからゴルゴを拳銃で狙う始末だ。キャタピラのピンを狙撃するゴルゴを目の当たりにしているのに……。こんな司令官の下ではさぞや部下たちは苦労したろう。
美しき決闘シーン
登場する魅力的な脇役、ベア・ポーとの決闘シーンが美しい。夕日を背に陰影で描かれる美しさ、正々堂々たる闘いの美しさ、潔く負けを認めるポーの美しさ。ゴルゴの……というよりはさいとう劇画を存分に味わえる名場面だ。
その後のポーの妹との情事も秀逸。質問をするゴルゴを制して「自分の感じたモノを大切にしたいだけ……」と清楚ながらも“女性”としての本能を、通りすがりであることが分かっているゴルゴに対してぶつける様子が儚く美しい。今エピソードと同じくインディアンの地を舞台にした『甦るスタンディング・ベア』では、神々しいゴルゴのカッコよさが描かれている。
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片山 恵右
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