この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第143巻収録。製薬会社の「G&J」は、エイズ治療の画期的新薬の開発に成功する。だが販売戦略をめぐっては利益重視を掲げる社長のジョーンズと、患者救済を優先する副社長のグールドが対立していた。エイズ根絶を願うグールドは患者をないがしろにするジョーンズの方針に納得できず、ついにゴルゴに接触するのだった……。 脚本:Dr.K.G.Kobayashi
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男の涙がゴルゴの心を動かした?
新型コロナに限らず、エボラ、鳥インフルエンザなど、治療薬の開発が急がれる伝染病は多い。『世界的大流行 パンデミック』で鳥インフルエンザの、本作や『錆びた黄金』ではエイズウィルスの治療薬がテーマとなっている。
エイズ治療薬の開発に成功した製薬会社で、途上国への普及を急ぐ副社長が利益を重視する社長の暗殺をゴルゴに依頼する。現状を嘆く副社長に、「営利企業の論理が、人の生命に優先するのは珍しい事ではなかろう」と突っぱねるゴルゴ。それでも現金が当然の依頼料を株券で受け取っている。ゴルゴの心に響くものがあったのだろうか。
自然死に見せかける依頼
「本人や家族が必要以上に苦しまない突然死」との希望を出されたゴルゴ。社長宅に備えられた電化製品などの自動管理システムをハッキングし、換気扇から撃ち込んだ食塩の弾丸を介して微量の青酸ガスを嗅がせることで社長に心臓麻痺を起させている。
狙撃のカモフラージュを望む依頼は数多いが、事故死に見せかけるくらいはゴルゴなら朝飯前だ。しかし自然死となるとそうはいかない。『心臓の無い男』でも結構な手間をかけたように、本作でもゴルゴはハッカーに対して少なくとも札束6つ(6万ドル?)を支払っている。準備は怠らないゴルゴの本領発揮だ。
300万ドルも無駄な投資に
社長も危険性を感じていたのか、ボディーガードに旧ソ連の特殊部隊スペツナズの元隊員を雇っている。ゴルゴを見知っていた元隊員は社長に十分な警告をした後、ゴルゴに備えるために武器商人からレーザーセンサー、自動識別装置、火炎放射器、指向性地雷などを購入している。締めて300万ドル(約3億円)だ。
しかし300万ドルの投資もゴルゴには無駄だった。あっけなく社長を殺されたうえ、ゴルゴの罠によって彼も撃ち殺されている。武器商人と仕事の後にウォッカを飲む約束をした時点でフラグを思いっきり立てたようなものだ。
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研 修治
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