この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第53巻収録。第52巻『沸騰 第四帝国』の続編ともいえる作品。イスラエルの諜報機関モサドは、ネオナチの本拠地がブエノスアイレスにあることを突き止める。そこは「狼の巣」と呼ばれる難攻不落の要塞だった。これまでに送り込んだ工作員は、いずれも結果を出せず捕らえられていたモサドは、故ダヤン国防相の遺言「ゴルゴ13に連絡を取れ」に基づき、狼の巣壊滅をゴルゴに託すのだった……。脚本:きむらはじめ
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ゴルゴの努力と活躍
注目したいのは彼の並々ならぬプロ意識による努力だ。作中、警備が厳重な施設へ侵入するため、本物そっくりの映画セットを作り上げ夜な夜な練習するというシーンが描かれている。
ゴルゴであっても全てを土壇場で完璧にこなせるわけではなく、練習が必要という人間味のある描写が彼の人気の秘訣だろう。また、突入シーンでは一コマでかでかとフル武装のゴルゴが描かれ、これからどのような活躍をしてくれるのか期待が否が応でも高まる。そこからの敵施設への疾走感溢れる潜入、大量の敵をバッタバッタとなぎ倒す爽快感溢れる戦闘が本作最大のみどころだ。

命運の分かれる登場人物達
本作に登場するサブキャラクター達は、ゴルゴによって命運が分かれる人物が多い。敵施設の見取り図をゴルゴに渡した工作員アンジェリカは敵の追手から追われていたがゴルゴに命を救われる。
上記施設そっくりの映画セットを盗撮した一介の映画記者ニックは、フィルムを取り上げられたにもかかわらずその出歯亀根性が仇となり、ゴルゴに口封じされる。二人の命運を分けたのは彼らの生死が今後の仕事に差し支えがあったからであるが、ゴルゴに関わることで救われる命もあるのが感慨深い。(特に美人女性スパイは…)
また『沸騰 第四帝国』で愛人ノーマを殺害されたジュネーブの所長も再登場しているが、ノーマと所長もゴルゴにより命運の分かれた二人である。ゴルゴと所長の確執が気になる方は見てみるとよいだろう。
不快感なしのシンプルな構成
本作の魅力は『沸騰』『沸騰・第四帝国』から繋がる本シリーズのラストを飾るに相応しいスッキリとした物語構成だろう。ゴルゴが入念に下準備をし、敵基地を殲滅する。
書いてしまえばこれだけだが、モヤモヤする部分がなくアクション漫画として楽しく読める作品だ。ナチスと言えば本作でも繋がりが示唆されている『アラスカ工作員』~『ラ・カルナバル』シリーズにも登場しているが、こちらはゴルゴが衝撃を受けるほどのショッキングな展開が待ち構えている。
アクションシーン以外にも起伏に富んだストーリーを望む方はこちらも読むとよいだろう。また上記のナチス関連での戦闘は1対多でのド派手なアクションシーンは共通しているため、ゴルゴのワンマン・アーミーぶりを堪能したいのであれば本作と上記の作品の両方をチェックされたい。

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小摩木 佑輔

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