この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第185巻収録。カリブ海で発見された豪華クルーザー。船内には人の姿はなく、恐ろしい病原体が蔓延していた。美形の医師・エリザベスと調査船の船長バートンが、船内から人が消えた原因について推理するミステリー。ゴルゴとは関連がないといっても差し支えないエピソード。
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仕事をしなくても画になる男・ゴルゴ
今エピソードではターゲットの死亡によりゴルゴへの依頼はキャンセルとなる。そのためゴルゴの派手なアクションは見られないが、キャンセル確定までのゴルゴの仕事の丁寧さが楽しめる。また、ゴルゴの存在を知らない女医・エリザベスが状況を炙り出していくことで直接表現よりもむしろ輪郭がくっきりと縁取られていくのも醍醐味である。
ターゲット死亡によりゴルゴへの依頼がキャンセル、報酬返還となるエピソードには『依頼保留』『ロックフォードの野望 謀略の死角』などがある。また、メアリー・セレスト号事件を彷彿とさせるエピソードに『海難審判』がある。
官能的なキャラ、エリザベス
主人公と言えるエリザベス・マクレーン。シリーズ後期のエピソードでは少ない官能的なタイプで、エリザベスが防護服を脱いだ時のセリフ「どっちに驚いているの?無謀な行為?それともこの肉体(からだ)?」にシビれる男性読者も多いのではないか。
事実に基づく論理展開と「ここは想像だけど……」と明確に区分けしながら着実に分析を重ね、事件の真相とゴルゴ(ミダス号への侵入者)の人物像に近づいていくエリザベス。この頭脳明晰ぶりがエリザベスの官能的な印象を際立たせる。『異次元実験の危機』に登場する才媛ミルザ・ニーシャ(こちらは官能的な要素は薄い)と読み比べをするのも一興か。
人喰い菌はカリブの風土病ではなく
エピソードタイトルが「カリブの人喰い菌」となっているため、日本から遠く離れたカリブ海特有の風土病であると思いがちであるが、ビブリオ・バルニフィカス菌の感染症は日本でも確認されている。
厚生労働省HPによると、日本でビブリオ・バルニフィカス菌の感染症は1976年に長崎で第1例が確認されて以来、約200例が確認されている。米国やお隣の韓国でも年間数十例が発生している。エピソード中にもあるように健康な場合は無症状であることも多いようだが、発症すると劇症化しやすくおどろどろしい症状が現れる恐ろしい感染症である。
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片山 恵右
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