この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第61巻収録。西ドイツ外相の暗殺未遂事件が発生。現場に居合わせたTVキャスターのキャンドルは、暗殺犯は外相ではなく、隣にいた補佐官・ゼルを狙ったのではないかと推理する。キャンドルはゼルの過去を調べるうちに、大戦中に起きたチベット兵大量虐殺事件の秘密にたどり着く。脚本:工藤かずや
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ルールを曲げるゴルゴの心中
ゴルゴといえば彼への依頼について厳格なルールがあり、それを遵守させることで有名だ。『査察シースルー』ではゴルゴへの依頼をする際は正体を明かす、というルールを守らず、力づくで依頼を受けさせようとするサンタ達と一悶着起こしている。
一方では特別な事情があるときは多少目を瞑ることもあるのだ。代表的なのは『リオの葬送』だろう。依頼主が直接会う形でなかったが依頼を引き受けている。本作でもゴルゴへ正体を隠していたにも拘わらず依頼を請け負うのだが、それについてのゴルゴの心中を読者が考察する余地を残しているのがみどころだ。

進行役の記者と復讐者に注目
本作では序盤にゴルゴが登場せず、二人の記者とゼル補佐官の暗殺を狙う復讐者達の視点を中心に話が展開されていく。冒頭で記者達の目の前で暗殺未遂が突然起き、それを記者達は追うことになるのだが、この記者と読者の知識量が同等なため、彼らとともに事件の真相を追っていく気分になれること間違いなしである。
一方で冒頭での暗殺未遂を起こした復讐者達の執念にも注目だ。なぜ命を賭してまでターゲットを暗殺をしようとするのか、その使命が次第に記者達によって明らかになっていくところがみどころでもある。全てが明らかになった時、彼らの捨て身の姿勢に感服せざるを得ないだろう。
次々と失敗する刺客、真打登場
本作の最初のページにてタイトルとともに二つの紋章が並べられている。このハーケンクロイツをみてピンとくる方もいるだろう。そう、この物語にもナチスが深く関わっている。展開としては一人の要人を暗殺するための刺客が次々に失敗し、真打としてゴルゴが登場するというシンプルな構成だ。ナチス関連の話が深堀されているのもナチ・サスペンス好きには堪らない。
ちなみにゴルゴとナチスの確執は『沸騰』~『崩壊 第四帝国 狼の巣』シリーズ、『アラスカ工作員』~『ラ・カルナバル』シリーズでも描かれている。ゴルゴvsナチスの直接対決を見たい方はこれらの作品もチェックするとよいだろう。

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小摩木 佑輔

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