この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第7巻収録。ECMと呼ばれる攻撃時に相手側のレーダーを盲目にする電子兵器をめぐるストーリー。アメリカはソ連から亡命してきたレーダーシステムの権威・ワルター博士を沖縄に派遣し、レーダーシステムの開発を進めていた。それをされては困るソ連は、ゴルゴにワルター抹殺を依頼するが……。脚本:森幸太郎
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悲哀の表情を見せるゴルゴ
冒頭、ゴルゴとKGBの女スパイ・オルガがスキーウェア姿で登場する。本作のみどころはゴルゴガールとして登場したオルガとの別れが挙げられるだろう。任務を果たしたゴルゴを始末するために現れるオルガ。対してゴルゴは銃弾を放つと思いきやオルガに言われるままに銃を手放す。
ゴルゴが窮地を脱し、その場を去る際のオルガを見つめる物悲しげな表情に心打たれることだろう。その後に刺客を放った黒幕と対峙した際には「出迎えが多すぎてちょっとおくれたが……」と刺客を出迎えと皮肉るシーンにも思わずニヤリとしてしまう。
美女工作員カリーニ・オルガに注目
登場人物で注目したいのは、やはりKGBの美女工作員・オルガだ。スキーヤーに扮しゴルゴの後を追いまわした挙句、それを見抜かれストックを突きつけられる物々しい登場の仕方だ。彼女はゴルゴに想いを寄せており、彼を始末しようとする組織とゴルゴへの想いに板挟みになる。
そして遂には組織がゴルゴを組み伏せようと彼女を含む数名が出向くシーンが印象的である。彼女は他の工作員が奮闘する中、微動だにしないのである。その数6コマ、ページにして4ページだ。ゴルゴの奮闘の合間に微動だにしない彼女が5ページ後、遂には動き出す。果たして彼女が選んだのは組織かゴルゴか。本作一番のみどころシーンだ。
美女、狙撃、乱闘、爆発、これがゴルゴだ
本作は一話限りの短編ながら本項のタイトルに記した要素が中盤以降から濃縮されて描かれている。美女オルガとの事後のシーンを皮切りに、暴徒化寸前の群衆がゴルゴの狙撃によって暴れ始める。嵐の前の静けさを醸し出していた物語は突然物々しい展開を見せるのだ。
狙撃を終えたゴルゴは息つく暇もなく、多数の男との手に汗握る乱闘を繰り広げる。敵が銃を持てばゴルゴも負けじと銃撃による応戦。ゴルゴを読んだことのない知人がいたならば、本作を薦めればその醍醐味を味わってもらえるだろう。
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小摩木 佑輔
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