この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第102巻収録。故バーレビ・イラン国王の腹心の部下だったハーンは、王国再建の資金調達のため、アメリカの機密を日本の銀行家に売り渡そうとしていた。その機密とはロックフェラー財閥が隠匿する巨大油田の在り処だった……。石油価格が暴落することを危惧したロックフェラー陣営は、ゴルゴに組織の殲滅を依頼する。脚本:竹内亨
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敵にも依頼人にもなるロックフェラー財閥
ロックフェラー財閥で石油部門の一翼を担うヘンリー・ウェザビィが依頼人。関係者が次々に殺されたヘンリーは、「ロックフェラーを敵に回した者は、この地球上で生きていけん………それを思い知らせてやるのだっ」と言っている。
「ちょっと待てよ」とゴルゴファンなら思うだろう。『ロックフォードの野望』『ロックフォードの野望 謀略の死角』で生きのびたゴルゴを忘れたのか、と。まあフォードとフェラーでは別な団体なのかもしれないし、社名変更したロック…があまりにも巨大な組織で、ヘンリーも当主の暴走は知らなかった、とでも思っておこう。

伝説を見抜くゴルゴの目
物語の終盤になって、ゴルゴの一言から巨大油田の存在が嘘だったことが明かされる。テロリストに襲撃された際、燃え上がった櫓の火がすぐに消えたことで油井の存在に疑問を持つゴルゴの観察力はさすが。
さらに無言のまま静かに見つめるゴルゴを前にして冷や汗をかいたヘンリーが、「私自身もこの幻想の中を泳いできたのです」と吐露するシーンは滑稽にも見える。本作以外にも『甦るスタンディング・ベア』『歴史の底に眠れ』などでもいろいろな伝説が登場する。時には伝説を覆し、時には伝説を裏打ちするゴルゴの活躍を知って欲しい。
あっけない銀行家の最後
通常は再会を望まないゴルゴだが、ヘンリーから、「今一度、お願いしたい仕事があった」として黒幕らの始末を依頼される。途中でちらっと大元らしい人物が登場する。そこに「トウキョウ-ジャパン」の文字があることで日本人と推測でき、さらに先物市場の操作によりひと稼ぎする目的も明らかとなる。
結果的にゴルゴの活躍によりそれらは失敗に終わるのだが、「どんなプロでもこの部屋の私を狙撃することはできん」と言った銀行家は、あっさり眉間を撃ち抜かれている。窓から都庁のツインタワーが見える部屋にいる頭取。彼にモデルはいるのだろうか。

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研 修治

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