この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第66巻収録。前作『ロックフォードの野望』からの続編。「ゴルゴに依頼をした者は、例外なくロックフォード家が殺害する」 そんな噂を流し実行することで、ゴルゴを業界から締め出そうとするロックフォード一族。好意的な協力者だったローゼンまでもが目前で殺害されるに至り、ゴルゴの怒りのミラクル・スナイプが炸裂する。
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ゴルゴの美学の集大成
ゴルゴと言えばどんな状況でもポリシーを貫く男という印象を持っている方も多いだろう。前作『ロックフォードの野望』でもロックフォード財閥から一方的に預金封鎖されてしまう。ほぼ敵対関係のような状況に陥りはしたが、殺意がなかったため私怨で関係者を殺害するようなことはなかった。本作でもゴルゴのポリシーを貫き通すその忍耐強さは健在だ。
ロックフォード財閥の包囲網によりゴルゴやその周りに様々な不幸が降りかかる中、最後にはポリシーを貫き通した「射撃」を披露する。ゴルゴのターゲットと殺意を向けた相手のみに向けられる美学に乗っ取ったこの一撃を見逃す手はないだろう。
ロックフォードの野望全編を通してのキーマン、ローゼン
「10%の才能と20%の努力……そして、30%の臆病さ……残る40%は……“運”だろう……な……」これはゴルゴの名台詞の一つとして有名だがその台詞を引き出した男、ローゼン・ザメックにも注目だ。『ロックフォードの野望』でも重要な役回りを果たした彼だが、例外なく不幸が降りかかる。
そんな彼は意外な方法でゴルゴに自らの想いを託す。枯葉の舞うサクレクール寺院をバックにタバコをくゆらせ、彼の想いを聞き入るゴルゴが最高にカッコいいのだ。ゴルゴとローゼンの「ハードボイルドの極み」とも言えるやり取りで胸を熱くしてほしい。
ルールに乗っ取った闘い
ロックフォード財閥の目的はゴルゴを自陣営に引き入れることだ。ゴルゴを引き入れたいだけあって彼のポリシー、ルールについては熟知しており、それに「抵触」しないよう圧力をかけ、ゴルゴを屈服させようとしてくる。
このゴルゴの定めた「法」を悪用し物事を進めてくるロックフォードに対して、ゴルゴがあくまで「法」に乗っ取ってロックフォード財閥に「一矢」報いる本作品は、カタルシス以外の何物でもない。そう、あくまで「一矢」なのだ。これはゴルゴが力不足で一矢しか報いれなかったのではなく「法」に乗っ取った結果である。
ゴルゴが可能だからと言ってロックフォード財閥の人間を片っ端から暗殺していったら、我々はそこに美学を感じることが出来ない。そんなゴルゴの美学に酔いしれる本作品を是非とも楽しんでいただきたい。
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小摩木 佑輔
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