この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第33巻収録。前話『チェック・メイト』からの続編。空港でのゴルゴ暗殺に失敗したヌオールズは、ゴルゴは必ず自分を殺しに来ることを念頭にある作戦を立てる。それはゴルゴを墓地におびき寄せ、周囲7平方キロに渡って仕掛けた爆薬を爆発させるというものだった。射程距離内には爆弾がある状況で、ゴルゴが仕掛けた狙撃とは……? 脚本:浜家幸雄
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双方追い込まれる
このエピソードはファンの間でも名作と名高いチェック・メイトの続編だ。チェック・メイトは幼女がゴルゴを撃ち抜き、ゴルゴも幼女を狙撃するという衝撃的なラストで終わる。このステール・メイトはゴルゴ暗殺を目論んだ老人が、孫である幼女の次は我が身を捨ててゴルゴを亡きものにしようとするというエピソードだ。
ステール・メイト(ステイルメイト)とはチェス用語でチェックメイトに至る前に駒を動かしようがなくなった状態を指す。ステール・メイトになるとチェスでは引き分けの扱いになるのだ。まさにこのエピソードに相応しいタイトルだ。

なぜ一編のストーリーにしなかったか
このステール・メイトはページ数が多くない、掌編のようなエピソードだ。チェック・メイトと合わせて1つのタイトルに納めても連載上の問題は無かったのではないかと思う。エピソード、キャラクターが連なっているシナリオ自体は珍しくないが、連続しているのにエピソードが別れているというのはあまり記憶にない。
なぜ1つのエピソードとして纏めなかったのかはもちろん判らない。ただ思うのは、チェック・メイトはあのラストだからこそ名エピソードと名高い回になり、老人ヌオールズは強敵と印象付けられた。
蛇足なのか、キャラへの敬意なのか
対してステール・メイトはあまり話題に上ることが無い。ゴルゴ13が荒唐無稽であることは今に始まったことではなく、ステール・メイトのオチもある意味でゴルゴらしいものだ。しかし、不思議と読んでいて現実的な冷静さを取り戻してしまうのは自分だけだろうか。このオチがチェック・メイトに対して蛇足感をもたらしているような気はしなくもない。
ただ、敢えてこのエピソードを続編としてすぐに書いたのは、ゴルゴを追い詰めた強敵ヌオールズへの敬意でもあるように思う。幼い孫を利用し、命を落としながらも自分はのうのうと生きながらえるような人間ではないと書ききっている。このステール・メイトは、ヌオールズのためのエピソードなのだろう。

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大科 友美

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